「顔 FACE」読了。可もなし不可もなしといったところ。
「陰の季節」や「動機」と同じくD県警シリーズなのですが全く新しい警察小説と評価の高かった前2作に比べて、あざとさが目立ちます。
主人公自身が「陰の季節」収録の「黒い線」で心に傷を負ったままであるのに、それぞれの話で登場する事件関係者も主人公なみ、もしくはそれ以上に心に傷を負っているため、最初は主人公に共感していても、やがては事件関係者のほうに共感してしまい、主人公はどうでも良くなってくるのです。
また、主人公自身、物語が進むにつれて確かに成長していくのですが、それ以上に主人公を取り巻く環境が全然変わらず、次から次へと厳しい環境が主人公に立ち向かってくるので、成長しているのか、無駄なあがきをしているだけなのかよくわからなくなってきます。
いろいろなものを詰め込みすぎてしまったせいで、屋台骨が透けて見えてしまっているというか、舞台裏が見えてしまったというかんじでした。
コメント
初めまして。
本をたくさん読まれる方なんですね。
私はあまり本を読まないのですが、興味はあります。
とくに暗闇のワルツでしたっけ。
あれを読みたいですね。
そんな私は星新一氏の短編ものとツルゲーネフ氏の「父と子」を少し読みました。
コメントありがとうございます。
星新一の短編は私も中学・高校のころに、むさぼり読んだ記憶があります。
初めて読むウールリッチならば「暗闇のワルツ」より「幻の女」のほうをお奨めしますが(^^;)
「幻の女」は、
「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに彼の気分は苦かった」
と書きだしもすごい名作です。