風に流されて、何か黒い紙のようなものが飛ばされていました。よく見ると小さなツバメです。ちょうど巣立ちの季節なのでしょうか。
前へ前へと飛ぼうとしているのに、風にまけて押し戻されてしまっています。
一生懸命飛んでいるのに、風にまけて横へと流されてしまっています。
かわいい声で鳴きながら飛んでいるその姿に柄にもなく「がんばれ」と声をかけました。
で話は変わりますが。
世の中そんなに甘くないというか、本の世界も奥が深いのです。
あれからまた書店に行って新潮文庫の棚を眺めていたら、さらに薄い本を見つけてしまいました。
志賀 直哉の「和解」。なんと120ページです。しかも字が小さい。総ページ数としては128ページとなってしまうのですが、藤沢 周平の「静かな木」よりも発行年が古いです。しかし、さらに調べてみると改版される前の「和解」は117ページです。
総ページ数は一緒だったものの、もっとも薄い文庫本は「和解」で決まりかなと思ったら、上手がいました。
アンデルセンの「絵のない絵本」は109ページです。総ページ数にして112ページ。
しかし、安心するのはまだ早かった。
谷崎 潤一郎の「春琴抄」は106ページ。
とりあえずこんなものだろうと、調べることは止めて本来の目的であるおもしろそうな本の物色に回っていたところ、岩波文庫のコーナーにたどり着きました。
なんだか薄い本が目に付きます。
トルストイ「イワン・イリッチの死」。105ページ。
恐るべし、岩波文庫。
しかし、新潮文庫で使われている紙は、ローラーで締めた薄く腰が強い紙を使っていると聞いたことがあるので、薄さという点では「春琴抄」の方が若干薄いのかもしれません。
厚い文庫、薄い文庫
厚い文庫、薄い文庫 その3
厚い文庫、薄い文庫 その4
厚い文庫、薄い文庫 その5
コメント
100Pぎりぎりの本って、意外と多いんですねー・・・
岩波文庫恐るべし。
そういえば「絵のない絵本」は檄薄ですね。
子供の頃に読んで、ちょっと鬱な気分になったのを思い出します。
辻仁成の「ミラクル」とかも薄いですよね。
和解/志賀 直哉
和解posted with amazlet at 05.09.01志賀 直哉 角川書店 (1997/06)売り上げランキング: 305,630Amazon.co.jp で詳細を見る いわゆる文学小説、私小説です。 主人公の作家が、父親との心の溝を埋めていく「和解」を描いた作品。 父と長男の人間関係は、この本で読む限り、非常に重要な家族問題だったのだなと感じます。現代では、ぷいっと出て行ってしまえば、ふっと帰ってきたりという、比較的自由なイメージですが、親から勘当される=敷居をまたげないという時代には想像もできないことかなと。 人間関係が厳格な時代には、その関係修繕のストーリーが共感を呼び世の中に受け入れられたようです。心情の移り変わり、コミュニケーションなどなど非常に深い表現力で描かれているというところもありますが、現代の若者にはあまりピンと来ない内容かもしれません。30代を超えてくるとわかるか、わからないか、といったところですね。…