古川 日出男
装丁がとてもかっこいいです。
イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる。
語りがとてもかっこいいです。
1943年、日本軍が撤収したキスカ島。無人の島には4頭の軍用犬が残された。捨てられた事実を理解するイヌたち。やがて彼らが島を離れる日がきて-。それは大いなる「イヌによる現代史」の始まりだった!
という紹介しかなかったので、無人島に残された犬たちが繁殖し、犬の帝国を築き上げる話かと思っていたら、そんな生やさしい話じゃありませんでした。置き去りにされた3頭(1頭は物語の開始早々自爆して死ぬ)のイヌたちの壮絶な生存と繁殖の物語と、人間たちの戦争の歴史を重ね合わせた話です。カタルシスなんてこれっぽっちもありません。
それにしても、古川日出男という作家は力強い文章を書く人です。なんというか、一行読む事にボディブローをたたき込まれているような感覚です。ある程度の覚悟をしておかないと読み切るのが困難だったりします。
感銘を受けたのが、作中でソビエト連邦がスプートニク2号に一匹のライカ犬を乗せ打ち上げた年の1957年を、犬紀元の始まりとしていること。
イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる。
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