名探偵がいっぱい

冬狐堂シリーズ第二弾。とはいっても、前作のような話ではないし、前作との関連性もまったくない。どちらかというと外伝的な趣がある。なにしろ、蓮丈那智シリーズからは蓮丈那智その助手。孔雀狂想曲から雅蘭堂、そして直接事件との関わり合いはないものの、ビア・バー「香菜里屋」も登場するのだ。蓮丈那智が登場するために話自体は蓮丈那智シリーズっぽい方向へと向かうのだけれど、それもそのはず、今回の「狐闇」は蓮丈那智シリーズの「凶笑面」の四話目、「双死神」と密接な関係があるというか、蓮丈那智側からみた事件が「双死神」、冬狐堂側から見た事件が「狐闇」となっている。従って、この「狐闇」を読む前に、前作「狐罠」はもちろん、「孔雀狂想曲」、「凶笑面」は読んでおいた方がいいのである。もちろん「香菜里屋」が舞台となる「花の下にて春死なむ」も読んでおいた方がいい。
前作のような話を期待すると期待はずれに終わってしまうけれど、北森鴻美術関係シリーズオールスターズとしてみればおもしろい話。