麻耶 雄嵩
講談社の「ミステリーランド」シリーズというのは子供のころから本好きだった人間にとっては非常に罪作りなシリーズであります。子供のころ感じたドキドキ感やワクワク感を感じさせるあの装丁、書店で見かけるたびに無意識に手にとってレジへと向かって行きそうになってしまいます。
かつて子供だったあなたと少年少女のために。
というコピーが心の琴線に訴えまくります。
刊行が不定期になり、気が付くと出ていたという感じになっていたこのシリーズですが、田中芳樹と麻耶雄嵩の二冊が久しぶりにでました。しかし、悲しいかな田中芳樹の本のほうはよく見かけるのですが、麻耶雄嵩の方はほとんど見かけません。両方置いてある書店でも、田中芳樹の本は目立つ場所に、麻耶雄嵩の本は目立たない隅に置かれています。田中芳樹方にも惹かれるものはありましたが、ここは麻耶雄嵩が児童物を書いたと言うことのほうが重大ですから麻耶雄嵩の「神様ゲーム」を買いました。
で、期待して読みました……が、読み終えて呆然としました。
非常に後味の悪い話でした。「かつて子供だったあなた」向けの話でしたが「少年少女のため」の話ではありません。多分、この本を子供が読んだとしたら、泣き出すか、引きつけを起こすか、一生忘れないトラウマとして残ることは間違いないような残酷な結末。
前半は正当派な物語、もっとも鈴木君が出てくいるあたりで既にまともな話では無かったりもしますが、後半のトラウマ必死の展開はさすが麻耶雄嵩といったところ。
これでもかという程の物語展開を見せた後、こともあろうか事件の解決までも読者にゆだねて物語を終わらせてしまいます。
ゆだねられた真相が分からなくても、後味の悪い終わり方ですし、分かっても後味の悪い結果となるこの意地悪な本、殊能将之の「子どもの王様」も意地悪い内容でしたが、それを遙かに上回る話でした。
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