ジェフリー・ディーヴァー著 / 土屋晃訳
どんでん返し職人とまで書かれるようになったディーヴァーだけれども、「どんでん返し」の部分は抜きにして確かに職人だよなぁと思ってしまう。どんな題材でもそつなくこなしてしまうという意味での「職人」なので、あまり誉めているわけではない。
「獣たちの庭園」も読み終えて、そつなくこなした作品という印象が残る。
1936年、死刑と引き替えにドイツ高官の暗殺を取り引きされた殺し屋がドイツに潜入するが、現地の工作員との接触の際に人を殺してしまったためにターゲットを追う身でありながら同時にドイツ警察から追われる身となってしまう。
で、このドイツ警察の刑事が優秀過ぎるのだ。まるでリンカーン・ライムのように。主人公も抜け目なく行動をするのだけれども、刑事の方はその上を行く。リンカーン・ライムシリーズを犯人側の視点で読んでいるんじゃないかと思うくらいだ。
どんでん返しももちろん健在なのだけれども、他の作品の登場人物は事件に翻弄されるのに対して、本作の登場人物は歴史の流れに翻弄される。大枠のレベルで歴史の事実を動かせない以上、どんでん返しも本筋ではなく脇筋に対してであって、言ってみれば単なる添え物に過ぎない。船戸与一が「蝦夷地別件」で感じたジレンマと同等である。
どんでん返しとか、科学的捜査といったいつものディーヴァーの特徴部分は面白い。ではそれ以外の部分はどうかというと、冒頭に書いた「そつなくこなした」という感想になってしまう。もっともこれはディーヴァーに対して、期待値が高すぎる故の無い物ねだりではありますが…
歴史サスペンスを書いてもディーヴァーはやっぱりディーヴァーでした。
「獣たちの庭園」も読み終えて、そつなくこなした作品という印象が残る。
1936年、死刑と引き替えにドイツ高官の暗殺を取り引きされた殺し屋がドイツに潜入するが、現地の工作員との接触の際に人を殺してしまったためにターゲットを追う身でありながら同時にドイツ警察から追われる身となってしまう。
で、このドイツ警察の刑事が優秀過ぎるのだ。まるでリンカーン・ライムのように。主人公も抜け目なく行動をするのだけれども、刑事の方はその上を行く。リンカーン・ライムシリーズを犯人側の視点で読んでいるんじゃないかと思うくらいだ。
どんでん返しももちろん健在なのだけれども、他の作品の登場人物は事件に翻弄されるのに対して、本作の登場人物は歴史の流れに翻弄される。大枠のレベルで歴史の事実を動かせない以上、どんでん返しも本筋ではなく脇筋に対してであって、言ってみれば単なる添え物に過ぎない。船戸与一が「蝦夷地別件」で感じたジレンマと同等である。
どんでん返しとか、科学的捜査といったいつものディーヴァーの特徴部分は面白い。ではそれ以外の部分はどうかというと、冒頭に書いた「そつなくこなした」という感想になってしまう。もっともこれはディーヴァーに対して、期待値が高すぎる故の無い物ねだりではありますが…
歴史サスペンスを書いてもディーヴァーはやっぱりディーヴァーでした。
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