one and only 木崎ひろすけ

木崎ひろすけという漫画家をご存じでしょうか。
2001年3月28日没、享年35歳。
私がこの漫画家を知ったのは、いしかわじゅんの「漫画の時間」からでした。そしてその時にはまだ「GOD-GUN世郎 グランドギア」しか世に出てはいませんでした。
木崎ひろすけがこの世に残した本はわずか六冊。
「GOD-GUN世郎 グランドギア」
「少女・ネム 1」
「A･LI･CE 1」
「グランドゼロ GOD-GUN世郎」
「少女・ネム増補版」
「A･LI･CE」
「GOD-GUN世郎 グランドギア」は掲載誌の休刊によりそのまま未完。
「少女・ネム 1」は作者の都合により連載中止。
「A･LI･CE 1」は作者の急死により2巻目がでることはありませんでした。話としては一応の終わりを見せてはいますが、、無理矢理終わらせてしまった感もいなめません。
後半の三冊は追悼記念として前三作に未収録分を追加したものです。というわけで、事実上は三冊三篇しかありません。それ以外は短編が数編のみです。
トーンをいっさい使わない独特の絵は、「GOD-GUN世郎」の大胆なアクションシーンも「少女・ネム」の繊細な表現もできる凄い絵でした。担当だった編集者の話では、その原稿にはいっさいの修正がなかったとも言われています。命を削りながら描いているといわれても納得のできる絵でした。
「少女・ネム増補版」ではなぜか収録されなかった「少女・ネム 1」のあとがき漫画を見るたびに、そしてこの漫画の続きがもう描かれることが無いことを思うたびに、私の時間の一部はこの漫画と共にこの時代に止まったままであることを感じるのです。