きみに読む物語

「きみに読む物語」を観ました。
同居人が観たいと言っていたので付き合っただけで、自分一人だったら観ませんよ。こんなあからさまに泣けと言わんばかりの映画なんて。観たら泣くに決まっています。感動に踊らされる映画なんて観ません。
テレビでやっていた映画紹介で、カーニバルの観覧車のシーンがあったのを覚えていました。他の男とデートで観覧車に乗っているところへ主人公の男が飛び乗って彼女の目の前にぶら下がり、「デートしてくれなきゃ手を離す」と喋っているシーンです。てっきり中盤の山場のシーンかと思っていました。
そうしたらなんと、映画が始まって五分くらいでこのシーンです。この主人公、カーニバルの夜に初めて会った彼女に一目惚れし、デートしてくれなきゃ手を離すなんていきなり脅しているんですよ。初対面の彼女に…。
初デートの夜も、いきなり道路の真ん中に寝そべってみたりします。そして、「君も寝て見ろよ」です。「車が来たらどうするの」と彼女に聞かれても、「轢かれて死ぬだけさ」なんてかっこつけますが、その後、轢かれて死にそうになります。
もっとも本人達は楽しそうなので奇行に走っても別に構いませんが、彼女の両親は「一夏の恋だからほどほどにしなさい」と言います。全く持ってその通りです。
夏が終わる前に、彼女はニューヨークへ連れ戻され、二人は引き裂かれます。
しかし主人公の彼はめげずに毎日手紙を書きます。彼女の母親は毎日郵便物をチェックして隠滅工作に走ります。残念なことに母親の方が一枚上手でした。
そんなことが一年365日続きます。返事が来ないくせに365日手紙を書き続ける執念があるくらいならニューヨークへ行っちまえよと思うのですが、もちろん人それぞれです。
こういうふうに書いてしまうと、どこが感動なのだろうと思うのですが、泣ける部分は別の所にあります。
じつはこの話、認知症になって自分の旦那も子供も昔のことも忘れてしまった奥さんに、自分たちのなれそめの話を旦那が語って聞かせるという話です。わずかでも自分たちの事を思い出して欲しいという一縷の思いをこめて…。
というわけで上記の話は回想シーンで、老婦人は他人事のように聞いているのです。
もっとも、こんな奇行に走った昔のことなど思い出したくないのかもしれません。
なんてひねくれた解釈はやめて、ここは素直に、こんな印象的な思い出話さえ忘れてしまうほど認知症が進んでしまったと解釈しておきましょう。
要するにこの映画、愉快で長い回想シーンの合間に、悲しいお話がほんの少し挟まれるという映画なのです。このギャップのおかげで老人夫婦のシーンは次第に泣けてきます。
一日の終わりの夜、二人の話がめでたしめでたしとなって終わった時、老婦人が記憶を取り戻し、自分が認知症であることに気づきます。
そしてこう問います。
「今度はどのくらい持ちそう。」
「この間は、五分だった。」
そして、五分も持たずに記憶を失います。
「あなた誰?」
天国から地獄へ突き落とされる瞬間です。泣けますよ、もう。感動の涙じゃなくて悲しい方の涙ですが、踊らされても構いません。
しかし泣けるのも、この老人が毎日こんな事を繰り返していたらしいことに気づくまでです。
気持ちはわからないでもないのですが、年取ってもこの主人公、一年365日、毎日手紙を書き続けた若い時と行動パターンが全く変わりません。

コメント

  1. きみに読む物語見た☆☆

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