ゼナ・ヘンダースン著 / 中村 融編 / 安野 玲訳 / 山田 順子訳
こうして読み終えてみると、もちろんこの一冊だけで判断してしまうのは間違っているのも判っているのだけれども、意外と引き出しの狭い作家だったんだなあというのが素直な感想。収録されている作品の半数近くは「なんでも箱」の変奏曲と言ってしまっても差し支えないでしょう。それでも全体を通してみると結構バランスのとれた良い短編集です。
ゼナ・ヘンダースンの資質から言って結末が簡単に想像できてしまう「いちばん近い学校」や「小委員会」はあからさまな展開であるが故に読んでいて微笑ましくなってしまいます。解説にも書かれているように「いちばん近い学校」のラストの一文なんてグッとくる愛くるしい終わり方。
一方で、暗黒面に落ちた、もしくは落ちそうになっているヘンダースンが書いたんじゃないかと思えるのが「しーッ!」や「信じる子」や「ページをめくれば」。特に「ページをめくれば」なんてウルフの「デス博士の島その他の短編」を読んだ後だったのでこの結末には手厳しいものがありましたよ。こういう話も書くんだなあ。
ゼナ・ヘンダースンの資質から言って結末が簡単に想像できてしまう「いちばん近い学校」や「小委員会」はあからさまな展開であるが故に読んでいて微笑ましくなってしまいます。解説にも書かれているように「いちばん近い学校」のラストの一文なんてグッとくる愛くるしい終わり方。
一方で、暗黒面に落ちた、もしくは落ちそうになっているヘンダースンが書いたんじゃないかと思えるのが「しーッ!」や「信じる子」や「ページをめくれば」。特に「ページをめくれば」なんてウルフの「デス博士の島その他の短編」を読んだ後だったのでこの結末には手厳しいものがありましたよ。こういう話も書くんだなあ。
コメント
避けられない運命 ゼナ・ヘンダースン『ページをめくれば』
ページをめくれば 今回は、《ピープル》シリーズや名作短編『なんでも箱』で知られるアメリカの作家ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』(安野玲、山田順子訳 河出書房新社
トラックバックさせていただきました。
Takemanさんの書かれているように、この作家の短編ってどれも同じ味がするような気はします。そういうわけで、面白いと感じたのはやっぱり『しーッ!』『信じる子』などのダーク・ファンタジー系統の作品の方でした。
僕が一番いいと感じたのは巻末の『鏡にて見るごとく−おぼろげに』です。この作品は、ヘンダースンの正邪両面の資質がバランスよく出た佳品なのではないかと思います。
私も「鏡にて見るごとく-おぼろげに」は良くできた話だと思います。
成長してしまった後は傍観者でいるしかないってのは、教師としての経験が書かせた作者の結論なんでしょうね。
私はこの本を読んで、作者がどういう教師だったのかのほうに興味を持ちましたよ。