伊井 直行著
面白いだろうと思ってはいたものの、実際はちょっとばかり不安でもあった伊井直行の「青猫家族輾転録」。
読んでみればなんのことはない、期待違わぬ面白さでありました。
読んでいて、前作「お母さんの恋人」と同様の香りがするのもうれしいところです。
主人公は五十歳を過ぎた中年親父。自分のことを「僕」と呼ぶ。その五十歳の「僕」が自分の物語を三十年前に亡くなった叔父さんに語りかけるというお話。
なのではあるが、自分の過去の話だけではなく、伯父さんの話、今現在進行中の話などが細かく切り刻まれパッチワークのごとく語られるのです。この語り口は絶妙で、語られる対象も、場所も、時間軸もバラバラ、一行空白が空けば違う話が飛びだしてくるくせに読んでいて全然混乱しないのであります。いや実際は読んでいてクラクラしてくるのだけれども、伊井直行の語りに翻弄されるのは心地よいのです。
社会における公平さのルールの問題やら、ネットビジネスの問題やら、まあ前者に関しては予想できたのだけれども、後者については、この作者どこまで広い引き出しを持っていやがるんだとあきれかえるよりもおそれおののく次第です。
しかし、そんな七面倒なことを抜きにして、五十歳の「僕」が0歳の次女を持つに至った顛末は、面白くって悲しくってほろ苦くって読後感は非常に気持ちいいのであります。
読んでみればなんのことはない、期待違わぬ面白さでありました。
読んでいて、前作「お母さんの恋人」と同様の香りがするのもうれしいところです。
主人公は五十歳を過ぎた中年親父。自分のことを「僕」と呼ぶ。その五十歳の「僕」が自分の物語を三十年前に亡くなった叔父さんに語りかけるというお話。
なのではあるが、自分の過去の話だけではなく、伯父さんの話、今現在進行中の話などが細かく切り刻まれパッチワークのごとく語られるのです。この語り口は絶妙で、語られる対象も、場所も、時間軸もバラバラ、一行空白が空けば違う話が飛びだしてくるくせに読んでいて全然混乱しないのであります。いや実際は読んでいてクラクラしてくるのだけれども、伊井直行の語りに翻弄されるのは心地よいのです。
社会における公平さのルールの問題やら、ネットビジネスの問題やら、まあ前者に関しては予想できたのだけれども、後者については、この作者どこまで広い引き出しを持っていやがるんだとあきれかえるよりもおそれおののく次第です。
しかし、そんな七面倒なことを抜きにして、五十歳の「僕」が0歳の次女を持つに至った顛末は、面白くって悲しくってほろ苦くって読後感は非常に気持ちいいのであります。
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