ダン・シモンズ著 / 酒井 昭伸訳
シモンズ先生の力量がなかったならばここまでまともな作品にはならなかったような気がする。あるいはシモンズ先生の筆が滑りまくったのか。とある現象に対して量子力学的に不可能だと登場人物につっこみを入れられながらも、どういうわけかそうなってしまったのだ、などと語らせて身も蓋もなく強引に話を進めていってしまう有り様はまさにシモンズ先生の力業。ところどころ、それはおかしいんじゃないのかなどと疑問点も浮かび上がってくるのだけれども、そんなもの軽く吹き飛ばしてしまう怒濤の展開はしびれます。
そもそも生頼画伯の表紙からして、このシュライクみたいな物と戦っているゴレンジャーはなんですか? と頭の中に疑問符が吹き荒れていたんですが、大まじめな本格SFというよりも娯楽SFと思った方がやっぱりいい。というわけで「ハイペリオン」のような物語を期待しているとがっかりする。何しろゴレンジャーの謎は読んでいくうちに解けたけれども頭の中で絵にしてみるとやはり笑えるし、トロイア戦争における神々の介入シーンなんてやはり頭の中で映像化してみるとやはり笑える。表向きは人間に関与しないと言っておきながら、自分がご贔屓している英雄に対して本人の知らない間にナノテク改造して超人にしてしまうんだから、わがまますぎるよこいつらは。中でも度肝を抜いたのは、木星から来た調査宇宙船が火星に到着しようとしたときに迎え撃つ神々の場面。ギリシャ時代の戦車に乗って宇宙空間に飛び出しエネルギー槍を投げて宇宙船を大破させてしまうのだ。こんなシーンを大まじめに書けるのはシモンズ先生の他には池上永一くらいじゃないだろうか。こんな唖然とする光景見せられたらそりゃ為すすべもなくやられてしまうよなあ。そういえば今回は泣かせるエピソードが見あたりません。
シュライクもどきだったキャリバンのとの会話はなんとなくジーン・ウルフの「独裁者の城塞」に登場したアスキア人の会話を思い出したんだけど、狙って書いたのかなあ。
二部作というよりは上下巻だとも言われているけれども、まあある程度の謎解きはされているので強いていえば風呂敷を広げきったところで終わったともいえるのか。もっとも続巻ではもう少し風呂敷を広げてから畳み込むのだろうけども、続きは来年。日本沈没の第二部なんて二十年以上待ったんですからこのぐらい楽勝に待てますよ。
そもそも生頼画伯の表紙からして、このシュライクみたいな物と戦っているゴレンジャーはなんですか? と頭の中に疑問符が吹き荒れていたんですが、大まじめな本格SFというよりも娯楽SFと思った方がやっぱりいい。というわけで「ハイペリオン」のような物語を期待しているとがっかりする。何しろゴレンジャーの謎は読んでいくうちに解けたけれども頭の中で絵にしてみるとやはり笑えるし、トロイア戦争における神々の介入シーンなんてやはり頭の中で映像化してみるとやはり笑える。表向きは人間に関与しないと言っておきながら、自分がご贔屓している英雄に対して本人の知らない間にナノテク改造して超人にしてしまうんだから、わがまますぎるよこいつらは。中でも度肝を抜いたのは、木星から来た調査宇宙船が火星に到着しようとしたときに迎え撃つ神々の場面。ギリシャ時代の戦車に乗って宇宙空間に飛び出しエネルギー槍を投げて宇宙船を大破させてしまうのだ。こんなシーンを大まじめに書けるのはシモンズ先生の他には池上永一くらいじゃないだろうか。こんな唖然とする光景見せられたらそりゃ為すすべもなくやられてしまうよなあ。そういえば今回は泣かせるエピソードが見あたりません。
シュライクもどきだったキャリバンのとの会話はなんとなくジーン・ウルフの「独裁者の城塞」に登場したアスキア人の会話を思い出したんだけど、狙って書いたのかなあ。
二部作というよりは上下巻だとも言われているけれども、まあある程度の謎解きはされているので強いていえば風呂敷を広げきったところで終わったともいえるのか。もっとも続巻ではもう少し風呂敷を広げてから畳み込むのだろうけども、続きは来年。日本沈没の第二部なんて二十年以上待ったんですからこのぐらい楽勝に待てますよ。
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