リチャード・マシスン著 / 仁賀 克雄訳
監修が仁賀克雄ということで読む前からいきなりフィルターがかかってしまうのはどうしようもありません。
翻訳に関して言えば、かつてSFマガジン上で、高橋良平に「二度とかかわって欲しくない」などとボロクソにいわれたこともあるくらいで、そういう出来事を知っている身としては、不安にかられるわけですよ。
もっとも、翻訳の善し悪しは原文と照らし合わせてみなければわからない部分もあるし、こういう企画を立ててくれたことを考えれば、過去を引き合いに出してつべこべ言っても仕方ない部分もあります。
が、しかし、作品の選択に目を向けてみると、これまた疑問がでてくるのもまた事実。
解説によれば、「The Shores of Space」を中心として、そこから八編を採り、それ以外から八編を追加したとあるのだけれども、なんとも中途半端な選択方法です。とくに追加された八編のなかに「こおろぎ」が入っているのが非常に解せない。同氏が編集した「幻想と怪奇」の中にも所収されていて、なおかつこの本入手可能な状態にあるのです。自分で翻訳したかったのだろうか。
殊能将之氏が<奇想コレクション>で「どんがらがん」を編んだときと同じ事をしろとまでは言わないけれども、もう少しましにはならなかったんだろうかなあ。
で、肝心の内容の方はといえば、とりわけ「生存テスト」が素晴らしい。筒井康隆の作品に同傾向のものがあったと思うけど、ラストの一文が心にずしりときます。
翻訳に関して言えば、かつてSFマガジン上で、高橋良平に「二度とかかわって欲しくない」などとボロクソにいわれたこともあるくらいで、そういう出来事を知っている身としては、不安にかられるわけですよ。
もっとも、翻訳の善し悪しは原文と照らし合わせてみなければわからない部分もあるし、こういう企画を立ててくれたことを考えれば、過去を引き合いに出してつべこべ言っても仕方ない部分もあります。
が、しかし、作品の選択に目を向けてみると、これまた疑問がでてくるのもまた事実。
解説によれば、「The Shores of Space」を中心として、そこから八編を採り、それ以外から八編を追加したとあるのだけれども、なんとも中途半端な選択方法です。とくに追加された八編のなかに「こおろぎ」が入っているのが非常に解せない。同氏が編集した「幻想と怪奇」の中にも所収されていて、なおかつこの本入手可能な状態にあるのです。自分で翻訳したかったのだろうか。
殊能将之氏が<奇想コレクション>で「どんがらがん」を編んだときと同じ事をしろとまでは言わないけれども、もう少しましにはならなかったんだろうかなあ。
で、肝心の内容の方はといえば、とりわけ「生存テスト」が素晴らしい。筒井康隆の作品に同傾向のものがあったと思うけど、ラストの一文が心にずしりときます。
コメント
たしかに作品選択には、疑問が残りますね。しかも既訳のあるものばっかりだったりして。ほぼ全部未訳の作品かと期待していたので、ちょっとがっかりしました。
でもマシスンの短編集が出ただけで、うれしいですね。これが呼び水になって、また他の作品が訳されればいうことはないのですが。
そういえば、ソノラマのときの訳者って、仁賀克雄の弟子筋の人が多かったんでしょうか?中田耕治なんか、アンソロジーではいつも女子学生ばっかり使っていて、げんなりしたものですが。
雑誌掲載されたままで終わっているものを救うというのが趣旨の一つのようなので、未訳品が少ないのは仕方ないですね。入手困難になっている作品を救うのは大いに結構だと思いますよ。
ただ、同時刊行のディックの『人間狩り』は「ゴールデン・マン」が欠けた縮小再生産版だったりするところを考えると、この人は過去の資産を考えず、作品が他の作品集と重複しようがしまいがお構いなく、新シリーズを立ち上げるたびにその時点での自分にとっての究極のアンソロジー集を作ろうとしているような気がします。
>ソノラマのときの訳者って、仁賀克雄の弟子筋の人が多かったんでしょうか?
宇野利泰は下訳をやらせたりと後進の育て方がうまかったと聞いたことがありますけど、仁賀克雄はちょっとわかりませんね。日本語の文章として読みやすければ誰が訳したとか、誤訳とかはあまり気にしない方なんですよ。誤訳があってもどうせわからないし(笑)