アイリーン・ガン著 / 幹 遥子訳
解説でも書かれていたように、良くも悪くも「同人誌」って言い方がよく似合う本でした。
テッド・チャンの時のような衝撃を期待していたんだけど、まあ作風の違いというか、好みの違いというか、期待していたのとはちょっと違ってがっかりです。
とにかくみんな褒めすぎ。ギブスンは「ビジネスだ」なんて何かトチ狂ったことを叫んでいるし、スワンウィックは詩まで書いてしまうはしゃぎぶり。あとがきでも褒めているし解説の二人も褒めているので、天の邪鬼は私としてはそれだけで白けてしまいましたよ。
「ソックス物語」なんか解説で、そこまで深読みするのかってくらいに神林長平の作品まで引き合いに出しているんだけど、それだったらゴーゴリの「鼻」の立場はどうなるんだって言いたくもなった。まあ別に良いんだけどさ。
「アメリカ国民のみなさん」は背景を理解していないと面白くも何ともないんじゃないかって思うし、そもそも収録された作品野中には二十年以上も前に書かれたものもあるので、それをふまえて読まなければ凄さもわからないんじゃないだろうか。というわけで手放しで面白いって言い切れないところがやっぱり欠点で、みんな褒めすぎだよなあ。
「コンピュータ・フレンドリー」は途中まで読んで、なんだ川島誠じゃないかって思ったんだけど、後半まで読んだらなんだマトリックス・リローデッドじゃんって思いました。でもこの作品はマトリックスより前に書かれていた作品でした。読み終えてもう一つなんだ○○じゃないかって思ったんだけども一夜明けたらそれがなんだったのか思い出せません……。歳だなあ。
「中間管理職への出世戦略」は読んでいて草上仁が書きそうな話だと思ったけど、そんなことよりも週八十時間働いていますってセリフがものすごく身に包まされます。
しかし、なんだかんだ言っても表題作の「遺す言葉」はいいなあ。終盤まではものすごくいい。オチなんかつけずにそのまま突っ切ってくれればもっと良かったんだけども、それじゃSFにならないか。
後は「コンタクト」が素晴らしかった。テントの中で異星人と一緒に横たわるってのがいいなあ。視点に暖かみがあるというか、同じ題材でもティプトリーが書いたらもっと冷たい話になっていたような気がする。SFの持つ突き放した冷たさが無いところが物足りない部分だったのだけれども、これはこれで良いんじゃないかって気がしてきた。
テッド・チャンの時のような衝撃を期待していたんだけど、まあ作風の違いというか、好みの違いというか、期待していたのとはちょっと違ってがっかりです。
とにかくみんな褒めすぎ。ギブスンは「ビジネスだ」なんて何かトチ狂ったことを叫んでいるし、スワンウィックは詩まで書いてしまうはしゃぎぶり。あとがきでも褒めているし解説の二人も褒めているので、天の邪鬼は私としてはそれだけで白けてしまいましたよ。
「ソックス物語」なんか解説で、そこまで深読みするのかってくらいに神林長平の作品まで引き合いに出しているんだけど、それだったらゴーゴリの「鼻」の立場はどうなるんだって言いたくもなった。まあ別に良いんだけどさ。
「アメリカ国民のみなさん」は背景を理解していないと面白くも何ともないんじゃないかって思うし、そもそも収録された作品野中には二十年以上も前に書かれたものもあるので、それをふまえて読まなければ凄さもわからないんじゃないだろうか。というわけで手放しで面白いって言い切れないところがやっぱり欠点で、みんな褒めすぎだよなあ。
「コンピュータ・フレンドリー」は途中まで読んで、なんだ川島誠じゃないかって思ったんだけど、後半まで読んだらなんだマトリックス・リローデッドじゃんって思いました。でもこの作品はマトリックスより前に書かれていた作品でした。読み終えてもう一つなんだ○○じゃないかって思ったんだけども一夜明けたらそれがなんだったのか思い出せません……。歳だなあ。
「中間管理職への出世戦略」は読んでいて草上仁が書きそうな話だと思ったけど、そんなことよりも週八十時間働いていますってセリフがものすごく身に包まされます。
しかし、なんだかんだ言っても表題作の「遺す言葉」はいいなあ。終盤まではものすごくいい。オチなんかつけずにそのまま突っ切ってくれればもっと良かったんだけども、それじゃSFにならないか。
後は「コンタクト」が素晴らしかった。テントの中で異星人と一緒に横たわるってのがいいなあ。視点に暖かみがあるというか、同じ題材でもティプトリーが書いたらもっと冷たい話になっていたような気がする。SFの持つ突き放した冷たさが無いところが物足りない部分だったのだけれども、これはこれで良いんじゃないかって気がしてきた。
コメント
はじめまして。いつも楽しく拝読してます。私もつい最近この本を読んで、本当に賛辞尽くめで、「それほどかな~・・」ってちょっと思ってしまいました。『コンタクト』と『遺す言葉』はすごく良かったですよね!
『中間管理職~』と『スロポ日和』は笑えましたし、ワケの分からないのも何篇かあったんですけど、総じて結構良かったかな、と思いました。
猫のゆりかごさん、はじめまして。
「コンタクト」はあんな展開になるとは思ってもみなかったので不意打ちを食らった感じでもありましたが、あの話は良かったですよねえ。
「中間管理職~」は内容が内容だけに身につまされすぎてあまり笑えませんでした(笑)。
この人の書いたアヴラム・デイヴィッドスンの伝記は読んでみたいものです。翻訳されればいいのですが、よっぽどのことがない限り無理でしょうねえ。