タカハシ マコ
タカハシ マコ
隕石が落ちた次の日から、少しずつ人々が行方不明となる。
粘液のようなものを残して。
そしてその粘液は羊水に似ていた。
主人公はこの街に越してきたばかりの女子高生。母親は主人公を産んで亡くなる。自分の誕生日が母親の命日である。
主人公の隣りに住むのは、ひきこもりの青年とその母親。父親は会社でのストレスで数年前に自宅で首を吊り自殺。母親はかいがいしく息子の世話をしながらも、その行為は息子というフィルターを通して自分の為になることしかしておらず、突き詰めれば自分だけしか見ていない。
主人公に親切にする同級生はつまるところ主人公の体目当てでしかなく、出来の良い兄にコンプレックスを抱いている。一方出来の良い兄の方は、弟であっても他人としてしか見ていない。
なんとも、満たされないでいる人々しか登場しない漫画であります。「エオマイア」とは、母親のお腹の中で子供をある程度育てて産むという最初の有胎盤類のことで「原始の母」という意味。
言うなれば人類補完計画でもあり、似たような話を読んだ記憶もないでもないのですが、不思議な味わいで、オビに書かれているように「ファンタジック・サスペンス」という言葉がよく似合います。
サスペンス風味ではあるけれど、何が起こっているのかは、頭のいい一人の人間によって身も蓋もなく次から次へと語られてしまい、そういう話を期待してしまうと物足りないです。なにしろ満たされない人間がひたすら満たされようとして、それがかなえられないという話なのです。ひきこもりの青年の母親が、本人に向かって「あんたなんか産むんじゃなかった」と言う話なのですよ。
しかし終盤、このセリフが別の意味へとスライドします。
男である自分には感じることの出来ないその感覚、センス・オブ・ワンダーを感じた瞬間です。
ああ、この瞬間を感じるために私はあらゆるジャンルの本を貪欲に読んでいるのだ。
だから私も満たされない人々の一人である。
粘液のようなものを残して。
そしてその粘液は羊水に似ていた。
主人公はこの街に越してきたばかりの女子高生。母親は主人公を産んで亡くなる。自分の誕生日が母親の命日である。
主人公の隣りに住むのは、ひきこもりの青年とその母親。父親は会社でのストレスで数年前に自宅で首を吊り自殺。母親はかいがいしく息子の世話をしながらも、その行為は息子というフィルターを通して自分の為になることしかしておらず、突き詰めれば自分だけしか見ていない。
主人公に親切にする同級生はつまるところ主人公の体目当てでしかなく、出来の良い兄にコンプレックスを抱いている。一方出来の良い兄の方は、弟であっても他人としてしか見ていない。
なんとも、満たされないでいる人々しか登場しない漫画であります。「エオマイア」とは、母親のお腹の中で子供をある程度育てて産むという最初の有胎盤類のことで「原始の母」という意味。
言うなれば人類補完計画でもあり、似たような話を読んだ記憶もないでもないのですが、不思議な味わいで、オビに書かれているように「ファンタジック・サスペンス」という言葉がよく似合います。
サスペンス風味ではあるけれど、何が起こっているのかは、頭のいい一人の人間によって身も蓋もなく次から次へと語られてしまい、そういう話を期待してしまうと物足りないです。なにしろ満たされない人間がひたすら満たされようとして、それがかなえられないという話なのです。ひきこもりの青年の母親が、本人に向かって「あんたなんか産むんじゃなかった」と言う話なのですよ。
しかし終盤、このセリフが別の意味へとスライドします。
男である自分には感じることの出来ないその感覚、センス・オブ・ワンダーを感じた瞬間です。
ああ、この瞬間を感じるために私はあらゆるジャンルの本を貪欲に読んでいるのだ。
だから私も満たされない人々の一人である。
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