田中 啓文著
落語とミステリというと、北村薫の<円紫師匠と私>シリーズを思い出すのだけれども、同じ落語とミステリという組み合わせでもこちらはアレとは対極に位置する作品。
上品な北村薫に対して下品な田中啓文、駄洒落こそは封印してあるものの、あくの強い大阪人キャラクターばかりが登場する。しかし破天荒な行動ばかりではなく、人情味に厚く、とことん嫌な人間はほとんど登場しない。ただしうっとおしい人間が一人登場するのだけれども、これが主人公の兄弟子で名前が梅雨。名前通りのうっとおしさです。
日常系のほのぼのとした謎ばかりではなく殺人事件も発生したりするところなど、作者のやりたい放題という部分もあるのだけれど、ミステリの部分を取り除けば物語の展開はきわめてオーソドックスで、この話が扱っている古典落語と同様の構造ともいえる。要するに何を語るのかではなく、どう語るのかということであってどういう展開になるのかなんて判りきっているのだけれども、その語り口のうまさにホロりとさせられてしまうのであります。
上品な北村薫に対して下品な田中啓文、駄洒落こそは封印してあるものの、あくの強い大阪人キャラクターばかりが登場する。しかし破天荒な行動ばかりではなく、人情味に厚く、とことん嫌な人間はほとんど登場しない。ただしうっとおしい人間が一人登場するのだけれども、これが主人公の兄弟子で名前が梅雨。名前通りのうっとおしさです。
日常系のほのぼのとした謎ばかりではなく殺人事件も発生したりするところなど、作者のやりたい放題という部分もあるのだけれど、ミステリの部分を取り除けば物語の展開はきわめてオーソドックスで、この話が扱っている古典落語と同様の構造ともいえる。要するに何を語るのかではなく、どう語るのかということであってどういう展開になるのかなんて判りきっているのだけれども、その語り口のうまさにホロりとさせられてしまうのであります。
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