道尾 秀介著
デビュー作がホラーサスペンス大賞だったせいかノーマークだったんだけども、「向日葵の咲かない夏」が偉く評判が良くって、これは読まないといけないなあと思っているうちにミステリ・フロンティアから新作が出てしまいました。
冒頭からいきなり漂ってくる不穏な雰囲気は、ちょっと苦手かなと思いつつも意外と読みやすく、何が起こっているのかよく判らない状態でありながらもけっこう話の筋が追いやすい。
舞台が大学病院の精神科ということで、ひょっとしてこれは登場人物達が信じている世界が実は……というパターンなのかと想像して、そういう話だったら嫌だなあと思ったりもしたんだけども、こちらの安易な想像など豪快に覆してくれるような方向へと話が進みます。
どんでん返しといえばどんでん返しなんだけども、むしろそのまま横へスライドして別の場所へ、すとんと落ちたといった方が近いかも。悲惨な真相が実はもっと悲惨な真相だったというような中盤過ぎからのこの揺さぶりは素晴らしい。
それでいてラストはとても余韻のあるラストで、決してハッピーエンドではないものの、救いのある結末。いや最初の方はそんな結末へと結びつくそぶりもなく、そんな展開まで盛り込むのかというような贅沢で豪勢なお話でした。
それにしてもマーシャル・スミスの「みんな行ってしまう」の表紙といい。この本の表紙といい、笹井一個っていい仕事してるなあ。とくにこの本はオビも含めて素晴らしいです。
冒頭からいきなり漂ってくる不穏な雰囲気は、ちょっと苦手かなと思いつつも意外と読みやすく、何が起こっているのかよく判らない状態でありながらもけっこう話の筋が追いやすい。
舞台が大学病院の精神科ということで、ひょっとしてこれは登場人物達が信じている世界が実は……というパターンなのかと想像して、そういう話だったら嫌だなあと思ったりもしたんだけども、こちらの安易な想像など豪快に覆してくれるような方向へと話が進みます。
どんでん返しといえばどんでん返しなんだけども、むしろそのまま横へスライドして別の場所へ、すとんと落ちたといった方が近いかも。悲惨な真相が実はもっと悲惨な真相だったというような中盤過ぎからのこの揺さぶりは素晴らしい。
それでいてラストはとても余韻のあるラストで、決してハッピーエンドではないものの、救いのある結末。いや最初の方はそんな結末へと結びつくそぶりもなく、そんな展開まで盛り込むのかというような贅沢で豪勢なお話でした。
それにしてもマーシャル・スミスの「みんな行ってしまう」の表紙といい。この本の表紙といい、笹井一個っていい仕事してるなあ。とくにこの本はオビも含めて素晴らしいです。
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