アントニー・バウチャー著 / 白須 清美訳
アントニー・バウチャーの短編集が出たということは凄いことなんだけども、その中身が凄いわけではないところが……。
バウチャーの短編集なんてこの先もう出る事なんてないんだろうから、「Far and Away : Eleven Fantasy & SF stories」をそのまま訳すんじゃなくって傑作選にしてくれよと言いたくもなるのですが、まあ版権とかの問題もあるだろうから欲張っても仕方ないか。
最初からたいして期待をしていなかったんだけれども、「先駆者」「噛む」「タイムマシンの殺人」と読み進めていって、それが見事なまでに裏切られなかったので、がっかりしたわけですよ。
「先駆者」なんて、お前、料理なんて作った事なんて無いだろうと、つかみかかりたくなるような内容。まあたわいのないショートショートに文句を言うのも大人げない気もするが、「わが家の秘密」を読んだりすると、お前、味覚がおかしいんじゃないかって思いたくもなる。
表題作になると、これまた脱力してしまうような内容。タイムマシンを使ってアリバイ工作なんて誰もが思いつくネタを堂々と使ってしまうあたりは、ある意味ものすごい勇気があったものだとも思うけど、さすがに着地地点は別の場所へとずらすしかなかったか。しかしフレドリック。ブラウンならば、同じ事を書いてももっと簡潔に切れ味よく書き上げたような気がする。
こんな調子で続いたら最後まで読み切る気力が続かないよなあ、と思ったら「悪魔の陥穽」で持ち直したのでなんとかひと安心。原著には収録されていなかった「たぐいなき人狼」も同じ魔術師オジマンディアス物で、この二作がまあ面白い。さすがに後半の作品になると、傾向がつかめてきたのでそれなりに楽しめた面もあるけど、気に入った作家はめちゃくちゃ絶賛する人だっただけあって、自作には甘かったのかな。
しかし、本文の方はともかく解説は相変わらず仁賀史観全開といったところで、読んでいてげんなりしてくる。作家、書評家、アンソロジスト、編集者の四役をやったのは、バウチャーの他にはクイーンしかいないなんて断言していたりして、江戸川乱歩だってそうじゃないのかな、福島正実だっているぞ。もっとも、これは海外に限定してという好意的な意味にとったとしても、ドナルド・ウォルハイムがいるし、デーモン・ナイトはどうだったかな、オービットの編集長でもあったけど。
探せばまだまだいそうだ。
まあ、解説に目くじら立てても仕方ないか。
バウチャーの短編集なんてこの先もう出る事なんてないんだろうから、「Far and Away : Eleven Fantasy & SF stories」をそのまま訳すんじゃなくって傑作選にしてくれよと言いたくもなるのですが、まあ版権とかの問題もあるだろうから欲張っても仕方ないか。
最初からたいして期待をしていなかったんだけれども、「先駆者」「噛む」「タイムマシンの殺人」と読み進めていって、それが見事なまでに裏切られなかったので、がっかりしたわけですよ。
「先駆者」なんて、お前、料理なんて作った事なんて無いだろうと、つかみかかりたくなるような内容。まあたわいのないショートショートに文句を言うのも大人げない気もするが、「わが家の秘密」を読んだりすると、お前、味覚がおかしいんじゃないかって思いたくもなる。
表題作になると、これまた脱力してしまうような内容。タイムマシンを使ってアリバイ工作なんて誰もが思いつくネタを堂々と使ってしまうあたりは、ある意味ものすごい勇気があったものだとも思うけど、さすがに着地地点は別の場所へとずらすしかなかったか。しかしフレドリック。ブラウンならば、同じ事を書いてももっと簡潔に切れ味よく書き上げたような気がする。
こんな調子で続いたら最後まで読み切る気力が続かないよなあ、と思ったら「悪魔の陥穽」で持ち直したのでなんとかひと安心。原著には収録されていなかった「たぐいなき人狼」も同じ魔術師オジマンディアス物で、この二作がまあ面白い。さすがに後半の作品になると、傾向がつかめてきたのでそれなりに楽しめた面もあるけど、気に入った作家はめちゃくちゃ絶賛する人だっただけあって、自作には甘かったのかな。
しかし、本文の方はともかく解説は相変わらず仁賀史観全開といったところで、読んでいてげんなりしてくる。作家、書評家、アンソロジスト、編集者の四役をやったのは、バウチャーの他にはクイーンしかいないなんて断言していたりして、江戸川乱歩だってそうじゃないのかな、福島正実だっているぞ。もっとも、これは海外に限定してという好意的な意味にとったとしても、ドナルド・ウォルハイムがいるし、デーモン・ナイトはどうだったかな、オービットの編集長でもあったけど。
探せばまだまだいそうだ。
まあ、解説に目くじら立てても仕方ないか。
コメント
「作家、書評家、アンソロジスト、編集者」というと、アヴラム・ディヴィッドスンがそうじゃないでしょうか。ファンタジーアンドサイエンスフィクション誌の編集長もつとめていたし。解説の方は下調べして欲しいものですね。ジュディス・メリルは「編集者」かどうかは分からないですが、それ以外の分野では大変な功績を残しているのだから、特記されても良さそうですし。
デイヴィッドスンはアンソロジーも編んでいたんですね、それは知りませんでした。メリルは雑誌編集に携わっていたかどうかまではわからなかったので書きませんでした。
最近の仁賀克雄は都合のいいところだけ取りあげて自説を繰り広げてしまう部分があるようで、昔はそうでもなかった気もするんですが。
すごく読みたいんですが、
意外に高くて悩んでいます。
いっそ図書館で探そうか、それとも古本屋?
(今月発売でしたっけ、まだ古本じゃないですよねー)
うーん、時間物としても新味はないですし、個人的にはあまりお薦めしたくない本ですね(笑)
もう完全に、固定層をターゲットにしているようなシリーズなので、買う人は中身がどうであれ買っちゃうんだけど、その層に入らない人は普通は買わないでしょうねえ。
やっと読みました。(忠告にしたがい図書館で借りました^^;)
前に挫折した作家さんだったので今度は頑張りました!
難解なのは相変わらずですね~
私も「タイムマシンの殺人」は評価できないかな
表題作なのに悲しいです。
「たぐいなき人狼」は面白かったです。
タイムマシンの殺人
タイムマシンの殺人
アントニー・バウチャー[:読書:]
ダーク・ファンタジー・コレクションの名にふさわしい
12編のSF、ミステリなどをテ−マにした
奇妙な中短編集。
アントニー・バウチャーはアメリカ出身、
ミステリ評論家・編集者として活躍されたそうです。
作品数は少ないです。が、コアなファンが多い作家さんです。
おお、読まれましたか。
自分の書いた記事を読み直してみたら、けっこう酷評してましたね(笑)
まあ、評価は全然変わっていないんですけど。