桜庭 一樹著
桜庭一樹版「百年の孤独」とでもいいましょうか、実際に描かれるのはその半分の時間なので五十年の孤独になるのですが、「五十年の孤独」じゃあちょっと締まらないなあ。
今回も確かに面白いし、凄いんだけど、なんだか限界を見せつけられてしまったようで少し悲しい。製鉄業を営む一族の物語というイメージからくる重さも合い重なって、話そのものに重みが加わったのだけれども、それまでの作風との結びつきをマジックリアリズムで片を付けてしまっているところが物足りない。と書いてしまうとなんだかものすごく高いレベルの作品を作者に勝手に期待しているわがままな読者に過ぎない気がしてきました。
で、話を元に戻して、読んでいて少し気になったのが第二部の毛毬の物語で、何故かと言えば私も毛毬と同様、丙午の生まれだからであります。
そしてどこが気になるのかといえば、毛毬の時代が微妙に自分が過ごしてきた時代よりも少し古い時代のように思える部分で、それは鳥取と、私の住む町との空間的な違いから来るものであるという可能性はもちろん否定出来ないことではあるのだけれども、たとえば口裂け女が登場するのは毛毬が高校生になったころのエピソードで、年代的には合わない。もちろん作中ではっきりと年代が特定されているわけではないので間違っていると言い切れるわけでもなく、むしろ鉄砲薔薇やらぶくぷく茶などというものが登場するくらいなので、もし仮に年代的に食い違っていたとしてもそれはあくまでパラレルな世界の話ということで間違っているということにはならないでしょう。むしろそういったずれはひょっとしたら意図的なのかも。
その他、溶鉱炉の火を一日だけ止めるという話が出てくるのだけれども、あれも気になるなあ。一日だけ停止ってそんなに気楽に再開できたのだろうか、当時の溶鉱炉は。
さらに気になるといえば、第三部の題名も気になるところ。第一部、第二部と「~の時代」となっているのにたいして第三部だけが違います。まあそのあたりも含めて全体にちりばめられたあれやこれやと深読みができそうな要素に関してあれやこれやと考えてみるのもまた楽しいわけなんですが、なんか貶しているような感想ですね。いや、別に貶しているんじゃなくって、大枠の物語も面白いんですが、細部が面白いんですよこの小説は。
今回も確かに面白いし、凄いんだけど、なんだか限界を見せつけられてしまったようで少し悲しい。製鉄業を営む一族の物語というイメージからくる重さも合い重なって、話そのものに重みが加わったのだけれども、それまでの作風との結びつきをマジックリアリズムで片を付けてしまっているところが物足りない。と書いてしまうとなんだかものすごく高いレベルの作品を作者に勝手に期待しているわがままな読者に過ぎない気がしてきました。
で、話を元に戻して、読んでいて少し気になったのが第二部の毛毬の物語で、何故かと言えば私も毛毬と同様、丙午の生まれだからであります。
そしてどこが気になるのかといえば、毛毬の時代が微妙に自分が過ごしてきた時代よりも少し古い時代のように思える部分で、それは鳥取と、私の住む町との空間的な違いから来るものであるという可能性はもちろん否定出来ないことではあるのだけれども、たとえば口裂け女が登場するのは毛毬が高校生になったころのエピソードで、年代的には合わない。もちろん作中ではっきりと年代が特定されているわけではないので間違っていると言い切れるわけでもなく、むしろ鉄砲薔薇やらぶくぷく茶などというものが登場するくらいなので、もし仮に年代的に食い違っていたとしてもそれはあくまでパラレルな世界の話ということで間違っているということにはならないでしょう。むしろそういったずれはひょっとしたら意図的なのかも。
その他、溶鉱炉の火を一日だけ止めるという話が出てくるのだけれども、あれも気になるなあ。一日だけ停止ってそんなに気楽に再開できたのだろうか、当時の溶鉱炉は。
さらに気になるといえば、第三部の題名も気になるところ。第一部、第二部と「~の時代」となっているのにたいして第三部だけが違います。まあそのあたりも含めて全体にちりばめられたあれやこれやと深読みができそうな要素に関してあれやこれやと考えてみるのもまた楽しいわけなんですが、なんか貶しているような感想ですね。いや、別に貶しているんじゃなくって、大枠の物語も面白いんですが、細部が面白いんですよこの小説は。
コメント
新作がでるたびに過剰な期待をしてしまうのはファンの証。
けど今回は作品紹介を見てもいまいち惹かれなかったので未購入。
しかしどうしよう(´・ω・)
細部が面白いんですか・・・。
まぁ細部まで作品紹介するわけじゃないし、金に余裕ができたら買おうかしら
前作が切れ味抜群の妖刀だとしたら今回は破壊力抜群のバトルアックスってとこですかねえ。
褒めるのも何だかしゃくな気がしたので褒めないように書いたんですが、傑作だと言いきってもいいと思います。
まあとにかく、細部、個々のエピソードはおもしろかったですね。
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」
赤朽葉家の伝説
おもしろすぎです。こんなにすごい作品だけれど、惜しくも「吉原手引草」に直木賞を奪われてしまう。
それでも、本当にこの作品は面白い。
桜庭一樹の本を読むのは、昨年の夏、「少女七竈と七人の可愛そうな大人」を読んで以来二冊目。
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