なんでもかんでもSFにするな!って息巻いている人がいるようなんですが、ふと思い出したのがこの言葉。
What is S-F? Science Fiction? Fantasy? Yes—-and much more.
S is for Science and Satellites, Starships and Space ; for Semantics, Society, Satire, Suspense, Stimulation, Surprise, above all—-Speculation.
F is for Fantasy, Folklore, and Fate and Free Will ; Firmament,Fireball,Fission and Fusion ; Facts and Factseeking, Figuring, Fancy-free,and just plain Fun.
Judith Merril
そうか、なんでもかんでもSFにしてしまっちゃったのはこの人のせいだったんだ。
いや、とりあえずこの言葉好きなんで無理矢理こじつけてでも引用してみたかっただけなんですよ。
で、話は変わるけど……
ロバート・トゥーイ著 / 法月 綸太郎編 / 小鷹 信光〔ほか〕訳
コメント
☆『地図にない町 – ディック幻想短篇集』――乱反射する白昼夢の中で
※この記事ではひっさしぶりに、他のブログにトラックバックを送ってしまいました。ああすいません。「時間旅行〜タイムトラベル」さんのこちらの記事と、「わしには,センス・オブ・ワンダーがないのか?」さんのこちらの記事(以上はこの『地図にない町』についての記事ですので、作品紹介の文章があります。先行情報を気にする方は注意!)と、下のジャンル論で触れる「アルファラルファ大通りの脇道」さんのこちらの記事です。みなさま、つたない記事からのトラックバック、失礼しました。
存在するはずのない駅で列車が止まる。駅前にひろがるのは地図にない町、そこで目にするものは? 幻想味あふれる名篇「地図にない町」をはじめ、ぜんまい仕掛けのおもちゃが子供を支配しようとする「おもちゃの戦争」、子供にお菓子をご馳走する不思議な老女の話「クッキーばあさん」……名手フィリップ・K・ディックが黄金の50年代に発表した幻想、怪奇、SFなど色とりどりの傑作短篇群から独自に編纂した珠玉の12篇! そろそろ長編を読もうと思いながらも、ちょくちょく行っている古本屋でこの本が100円で売ってて、うおおとテンションが上がってそのまま読みました。
作品の紹介文というかあらすじというか裏表紙の文のとおり、いろいろな要素のアイデア・ストーリーなので、ファンタジーのカテゴリーに入れていいかどうか迷ったんですが、まあいいやと思って入れてみました。ちょっと脱線ですけど、ジャンル論、とりわけジャンルの「正しさ」の論争はかなりむなしいものだと思ってて、以下の2点の理由からそう思ってます。
1、曖昧でなくジャンルを確定するには、諸作品を束ねるための中心(化)が必要だし、境界線が必要になる。とすると「真の」とか「本当の」なんて物言いが必要になるけど、大体そういったものは争いを生むし、他の要素(よくあるのが神的なものによって保証するとか)をひっそりと混ぜなきゃならないから。よく近代哲学で批判されてる点と似てるかなー。
2、ある総体があったとしてそれが変化しないわけがないから。SFで言えば「ガンダムはSFか?」みたいな論争があったらしいけど、ガンダムがSFであるかないかは知らないけど、「SFであるかもしれないし、ないかもしれない」というところが重要だと思う。どんどん作品が増えれば総体は変化するし、これはちょっと「正しい日本語」みたいなものに対する疑問と似てるかなー。辞書だって版を重ねて変化するし、そこで示された総体はあるタイミングの誰かによる切り取った一瞬に過ぎないんじゃないか、と思うので。
ってわけで、ジャンルなんてものは曖昧さを許容する大きなジャンル、ファンタジーとかSFとかミステリーとか、そういう風に使うか、それが耐えられなければ、たとえば「ほぼ『指輪物語』をベースにした世界観に、もろもろの多神教神話を混ぜて、ちょっとゾロアスターも混ぜて、80年代以降のアニメ的想像力から生まれたキャラクターが活躍して、世界の法則はコンピューターゲーム以前のRPGを基礎にしている物語」とか、やたら細かく指し示すしかないんじゃないかと思う。もはやジャンルとして、枠組みとして通用しないと思うけども。だから僕は曖昧なものとして考えてます。
参考として、このことに関して面白かった文章を紹介します。冒頭でも書きましたが、このブログからリンクしている「アルファ・ラルファ大通りの脇道」さんのこちらの記事です。文中で引用されている考え方に全面的に賛成だなー。
脱線終わり。ちょっとじゃなくなっちゃったような気もしますが、ええと、全体的に面白かったのですが、僕のボキャブラリーで言うと『世にも奇妙な物語』的に面白かったです! ははは、言葉が足りない……。で、特に表題作の「地図にない町」ですね。これに関してはおすすめ星ふたつぐらいよかったです。
では、続きはネタバレしながら。
こんばんは、はじめまして。いつも読ませていただいているものです。
今日、こちらの記事に関連した文章を書いたので、トラックバックさせていただきました。トラックバックってしちゃっていいのかなあ、といつも躊躇してますが、今回もどきどきです。なんだかすいません。
引用されている英文、とてもいいですね。たぶん先日の論争(ぼかして書かれているので、こちらもなかなかはっきりと書かないほうがいいと思いまして)について書かれたのだと思いますが、ジャンルなんてこれぐらいの曖昧さと寛容さで考えていいんじゃないかと思っていたので、とても共感しました。
というところで関連があると思ってトラックバックしたんですが、紹介されている本についてのトラックバックでなくて申し訳ないです。だめでしたら削除していただいていいので、そのときはお願いします。
これからも新しい記事を楽しみにしてます。それではー。
はじめまして。
いつか引用したいなあと思い続けていたので、丁度いいタイミングかなと思っただけで別に他意も悪意も何もないのですが、まあ善意もないですけど、それはともかくまだ私が若かった頃、ジュディス・メリルのこの言葉にはいたく感動したものです。
サイエンス・フィクションがSFと略されて、そして月日が流れてSFって何の略だ、なんて言われ始めた頃に飛び出した言葉でもあるんですが、SFの再発見というかなんだかそれじたいがSFっぽい話だなあと思ったりもします。