ジェフリー・フォード著 / 田中 一江訳
「アイスクリームの帝国」という短編しか読んだことがなかったんだけれども、ジェフリイ・フォードってこんな話も書くんだねえ。
幻想系のシリアスな話かと思っていたら、歳をとった主人公が過去を振り返るという出だしからしてなんだか「ボトムズ」や「ダークライン」のジョー・R・ランズデールっぽい感じだ。これだったらMWA賞の最優秀ペーパーバック賞を受賞しても不思議ではないよなあ。ただ、雰囲気という点ではどちらかといえばランズデールよりもフレドリック・ブラウンの<エド・ハンター>シリーズにより近い気もする。そういえば「シカゴ・ブルース」もMWA賞新人賞をを取っていたんだっけ。
主人公たちはいんちき霊媒師で降霊会中にガラスのなかに少女の姿を見たことからその少女の行方を追いかけることになり、そして本物の霊媒師と遭遇する。そこでいんちき霊媒師対霊媒師の対決の話になるのかと思いきや、そんな方向には進まず、クー・クラックス・クランや犬男、ゴム女といったサーカス芸人の仲間たち、そして主人公の恋愛なんかが絡んできて、一筋縄ではいかない。
詰め込めるだけの娯楽的要素を破綻しないレベルでこれでもかといわんばかりに詰め込んでいるので、まあとにかく話の展開が早いうえに飽きさせない。逆に言えば個々の要素に対してもう少し書込があっても良さそうな気もするんだけれども、エンターテインメントに徹しているという点では、このくらいがベストなんじゃないかな。
それにしても文庫でこういう話を出してくれたってのはありがたいねえ。
幻想系のシリアスな話かと思っていたら、歳をとった主人公が過去を振り返るという出だしからしてなんだか「ボトムズ」や「ダークライン」のジョー・R・ランズデールっぽい感じだ。これだったらMWA賞の最優秀ペーパーバック賞を受賞しても不思議ではないよなあ。ただ、雰囲気という点ではどちらかといえばランズデールよりもフレドリック・ブラウンの<エド・ハンター>シリーズにより近い気もする。そういえば「シカゴ・ブルース」もMWA賞新人賞をを取っていたんだっけ。
主人公たちはいんちき霊媒師で降霊会中にガラスのなかに少女の姿を見たことからその少女の行方を追いかけることになり、そして本物の霊媒師と遭遇する。そこでいんちき霊媒師対霊媒師の対決の話になるのかと思いきや、そんな方向には進まず、クー・クラックス・クランや犬男、ゴム女といったサーカス芸人の仲間たち、そして主人公の恋愛なんかが絡んできて、一筋縄ではいかない。
詰め込めるだけの娯楽的要素を破綻しないレベルでこれでもかといわんばかりに詰め込んでいるので、まあとにかく話の展開が早いうえに飽きさせない。逆に言えば個々の要素に対してもう少し書込があっても良さそうな気もするんだけれども、エンターテインメントに徹しているという点では、このくらいがベストなんじゃないかな。
それにしても文庫でこういう話を出してくれたってのはありがたいねえ。
コメント
アイスクリームの帝国〜ジェフリイ・フォード?
あなたにとって,吹き消したバースディケーキの蝋燭の匂いなど珍しくもないものだろうか。ぼくにとっては,ヴァイオリンの低音弦を弓で弾くような音が,その香りが占めるはずの座を奪っている。…アコースティック・ギターの音色は,ぼくの目のまえに黄金の雨のように見える。ちょうど頭のすぐ上の高さから落ちてきて,ぼくの太陽神経叢のあたりで消える。
いやいや,「アイスクリームの帝国」とは,全く雰囲気が違うような感じですねえ。文学的香りの強い人かと思っていたのですが。まあ,文才がある人は,何でも,器用にこなせるということでしょうか。
いや、所々やはり幻想系の人だなあと思う部分があったりするので、雰囲気そのものはそれほど変わってはいないんですよ。
ただ、やはり話そのものは違う方向へ向かってしまっているというか、ただ者じゃない感じですね。
[読了]ジェフリー・フォード、田中一江『ガラスのなかの少女』と教養小説
世界幻想文学賞にノミネートされた『シャルビューク夫人の肖像』の著者の作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞を受賞したのが本作である。 詐欺師のシェル、そのパートナーのアントニー、そしてメキシコ不法移民のディエゴの3人は、金持ち相手のインチキ