百万のマルコ

百万のマルコ

  •  柳 広司/
  • 販売元/出版社 東京創元社
  • 発売日 2007-03

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マルコ・ポーロといえば『東方見聞録』でイタロ・カルビーノの『見えない都市』あたりを引き合いに出して語ったりなんかするとちょっとかっこいい感想が書けそうな気もするけれども、私の場合、マルコ・ポーロといえばファミコン末期の時代に出たカルトゲーム『東方見文禄』である。
よくもまあ任天堂がこんなゲームを出すことを許可したもんだと思うのだけれども、そんなゲームを喜んで買った自分も自分だ。
柳広司の新作『百万のマルコ』もマルコ・ポーロのほら吹き話である。
十三の連作短編で、一話一話がかなり短いお話だ。そしてマルコの語る話は謎が提唱された瞬間にいきなり幕を閉じる。
かくして、私は莫大な財宝を手にすることが出来たのである。
神に感謝。アーメン、アーメン。
といった感じだ。登場人物でさえ「なんじゃそりゃ」と叫ぶ不条理さ。
この不条理感は『東方見文禄』の不条理感を彷彿させてしまう。おまけに「山の老人」の話も登場する。
ああ、山の老人といえば『東方見文禄』の山のボケ老人である。海の寝たきり老人までも登場する非常に危ないゲームだったよあのゲームは。
一つ一つが短いだけあって、そこに登場する謎は論理クイズとかとんち問題みたいな感じで、そういう問題が得意な人であれば面白いくらいに答えが判るだろうけれども、答えが判らなくっても楽しめる話だった。
かくして、私は『東方見文禄』の不条理感を思い出しつつ非常に楽しい読書時間を過ごしたのである。
神に感謝。アーメン、アーメン。

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