海神の晩餐

海神の晩餐

  •  若竹 七海/
  • 販売元/出版社 光文社
  • 発売日 2007-02-08

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それほど熱心な若竹七海読者ではないので、若竹七海がこのような話を書いていたとは知りませんでした。
タイタニック号と運命を共にしたジャック・フットレル。運命を共にしたのは彼だけではなく、彼が書いた何作かの作品もそうだった。
だが、その作品が船と運命を共にせず、生き延びた誰かの手に渡っていたとしたら……。
まさか、若竹七海がジャック・フットレルの贋作をするとは思ってもみませんでしたよ。おまけにアール・デア・ビガーズのチャーリー・チャン警部まで登場するし。
そして主人公が乗る客船、氷川丸にはいろいろと曰わくありげな人物が多数乗り合わせる。しかし、これだけの舞台装置が整いながらも、事件らしい事件はなかなか起こらない。
船の速度と同様、物語はゆったりとそして着実に進んでいくのだけれどミステリとして期待するとちょっとがっかりしてしまう。まあ、あまり陰惨な悲しい事件にしないところが作者の暖かいまなざしなんだろうと思えば、事件の決着の付け方も、これはこれで悪くはないなあと思うのだけれども、それはエピローグを読むまでの話。
いやさすが若竹七海といいたいところで、せっかくのいい気分もエピローグで奈落の底に落とされてしまったよ。この暗雲たちこもる結末は。

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