- 著 アルカジイ・ストルガツキー/ボリス・ストルガツキー/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1983-02
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この小説の存在を初めて知ったときその十数年後、別の意味の言葉として広く知れ渡ることになるとは思ってもみませんでした。
まあこの小説での意味だって密猟者という意味で用いられているので、どっちにしたっていい意味の言葉ではないのですが。
人知れず<来訪者>が地上に降り、そして立ち去った後だとされる場所。<来訪者>が来るまではごく普通の田舎町のひとにぎりの土地だったのに、重力異常な場所や突如として高熱の熱風が吹き荒れたりする奇怪な場所と化してしまう。そしてそこには<来訪者>が残していったと思われる遺物があった。その場所は<ゾーン>と呼ばれ軍の管理下におかれたけれども、<来訪者>の残していった遺物は裏で金になった。ストーカーたちは身の危険を省みず<ゾーン>に侵入して遺物を持ち帰る。
フレデリック・ポールの『ゲイトウェイ』とも似た設定だけれども、雰囲気は全然違います。最後まで<来訪者>の正体も<ゾーン>の謎も解明されることはなく、解明しようとし続けている人たちの存在は描かれるのですが、話は一人のストーカーの生き様に終始し、決して外の世界へと広がろうとはしないのです。レムの『ソラリス』を引き合いに出してもいいんだけれども、あれとは違い、作者の視点はあくまで人間だけに注がれています。
<ゾーン>を西欧諸国、遺物を西側の製品として置き換えてみると、この話が当時の旧ソ連の状況をとらえた話としてみることも可能だし、そう考えるといろいろと興味深い部分も出てくるのですが、いや、そこまで考えなくってもハードボイルド風な雰囲気といい、面白い話です。
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