- 著 吉田 秋生/
- 販売元/出版社 小学館
- 発売日 2007-04-26
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『BANANA FISH』以降は『ラヴァーズ・キス』があるものの『YASHA夜叉』やら『イブの眠り』やらと天才の登場する超人物語ばかりで、吉田秋生もそっちの系統へと行ってしまったんだなあ、などと思っていたら帰ってきてくれました。
始めて読んだのが『十三夜荘奇談』。旧『スターログ』で紹介されていたのがきっかけだったのですが、それから『吉祥天女』『河よりも長くゆるやかに』へと続き、ああ、あの頃の吉田秋生は神がかっていたものです。
『BANANA FISH』も良いけれども、やはり私の好きな吉田秋生の物語はやはり何気ない日常のお話の方なのです。
今回は鎌倉が舞台。祖母の残した古い一軒家に住む三姉妹のもとに、父親の死の知らせが入るところから物語は始まる。父親といっても彼女たちが幼い頃、よそに女を作って家を出たっきり音沙汰無しの状態だった父親である。
そして父親はその女性との間に子供をもうけており、三姉妹は葬式に向かった先で腹違いの妹と出会うこととなる。
父親を亡くしても淡々としている妹。そして葬式に出て遺影を目の前にしても三姉妹にとっては父親という実感はさっぱりわかない。
葬儀が終わって三姉妹は鎌倉へと帰るのだが、その帰り道、腹違いの妹が追いかけてきて父親が大事にしていた封筒を三姉妹に渡す。その中に入っていた写真を見たとき、彼女たちは父親の存在が自分たちと繋がったことを実感する。
ああ、そうだよ、こういう話が読みたかったのだ。
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