- 著 タニス・リー/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-04
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神林長平の作品を読み、タニス・リーの作品も読む人がどのくらいいるのか判らないけれど、神林長平の『膚の下』を読んだ後ではさすがにこの作品は分が悪かった。
思っていた以上にSFっぽい設定というかSFらしいガジェットが満載で細部がけっこう楽しく、そういった部分に手を抜かないあたりがタニス・リーの凄いところなのかも知れないなあと思わされたりもする。特に主人公が母親だけによるデザインベイビーであるあたり、そしてその主人公がロボットに恋をするという展開。おお、これは作られたものどうしの恋愛物語でもあるのか、などとちょっと過剰な期待をしたりもしてしまったわけです。
もっとも作者がそこまで考えていたのかどうかはわからないけれども、そういう思わせぶりな要素があちらこちらに見え隠れしながらも、結局は恋愛物語という王道から一歩も足を踏み外さなかったところが凄い点でもあり、物足りない点でもある。
しかし、ウィジャ盤が最後の最後であんな使われ方をするとは思わなかったよ。こいつは強烈な使い方だよなあ、魂があるかどうかじゃなくって魂はあるという前提の上での話で、魂があれば恋も出来るという話だったのか。いやそういう事なら、些細な問題にたいして文句なんていいませんよ。
ウィジャ盤といえば、クラークの『幼年期の終り』が印象に残っているんだけれど、あれは1953年の作品で、これは1981年。海外でもウィジャ盤はそれなりに人気があるのか。
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