- 著 佐々木 丸美/
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2007-02-28
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とりあえず前作の『崖の館』を読んで、これが佐々木丸美の世界かと思っていた自分があさはかだった。まだまだあれは序の口というか、入り口に過ぎなかったのである。
なるほど、たしかに佐々木丸美の虜になってしまう人がいるわけだ。こいつは強烈というか凄まじいなあ。しかし、これでさえもまだまだ佐々木丸美の世界の全てではないとしたら、それは末恐ろしい。
ミステリとしてみた場合、これが佐々木丸味の世界であるということを受け入れてさえしまえば、この反則的な事件の真相でさえ反則でも何でもなく、これ以外の答えなど考えつかないほどの合理的な真相である。従ってこれを反則だなどという人間は、真相解明に至るまでに作者が書き連ねてきた事柄を、そんな馬鹿なことがあるものかと話半分で読みふけってきただけなのだ。俺もそうだけど、途中で気がついて猛省したよ。
佐々木丸美の世界においては、作者が書いた事柄のみが真実であり、全てである。たとえそれが現実世界の事象と食い違っていてもだ。
虜にはならないのだけれども、もう少しこの世界を見つめてはいたくなる世界だなあ。
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