- 著 桜庭 一樹/
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2007-06
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桜庭一樹はもう傑作しか書けないんじゃないだろうかという気分になってくる。
『赤朽葉家の伝説』と比べれば重厚さは無いけれども、重厚さが無ければ傑作じゃないなんて事はない。そもそも桜庭一樹に重厚さなんて似合わないんじゃないのかと思うのだ。そういう意味で、今回は非常にスタイリッシュで軽やかだ。
とはいうものの、全五章の連作短編集であるこの物語は、100年の歴史を背景としているにもかかわらず、分量的に少々物足りない。もっと読ませろと言いたくなってくる。そこがこの本の唯一の欠点なのかもしれない。
まあそれはともかく、第四章を読んだときの酩酊感はたまらない。ストーリーそのものもそうだが、男子校の存在が現れた時点で思わず、とんでもない仕掛けがしてあったのではないのかと思い、今までの話を見直してしまった。今まで女子校の話だと思っていたのだけれども、実は男子校の話ではなかったのだろうか。しかし地の文で「彼女」という言葉が使われているのでそんな仕掛けはしていないのだろうけれども、何か重大な物を見落としているような気がしてならない。もしくは、そのような仕掛けを施すことも出来たのだけれども、あえてそんな物は入れなかったという作者の余裕の現れなのだろうか。
コメント
今日買ってきました
まだ途中ですが、なんというか・・・一生ついてゆきますとしか言い様が
ところで「荒野の恋」の続きはまだですかねぇ
「荒野の恋」の第三部はどうなっているんでしょうねえ。
ここまで来てしまった桜庭 一樹が「荒野の恋」をどのように決着つけるのか、実は不安と期待が入り交じっているんですが……。