- 著 イアン・ワトスン/大森 望/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-06
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いくら面白い本であっても、その本を面白いと思う人間がごくわずかな人数でしかなかったら、あっというまに絶版になってしまう。そもそも17年前に始めてこの本が出版されたときに、この本を面白いと思う人間の中に入っていたかもしれない自分自身がどうだったかといえば、その当時は長編至上主義的な状態だったので、短編集には目もくれないとまでは行かないけれども、まあ二の次だったりする。自分が当時この本を買っていたら絶版になどなっていなかったなどということはないのだけれども、ほんのわずかではあるけれどもなんとなく責任を感じたりするのである。
というわけで、今回めでたく復刊したこの本を買ったわけだが、やっぱり瞬く間に絶版になってしまうんだろうなあ。
そもそも物語としては面白くも何ともないよワトソンって。まあその代わりにとんでもない馬鹿アイデアがあるんだけれども、今回の復刊ではそのアイデアが古びてしまっていないかちょっと心配だった。
しかし、そんな心配などする必要もないというか、侮りすぎていたよイアン・ワトソンを。「超低速時間移行機」とか「スロー・バード」とか、なんでそんな方向へ話を持っていくのだと呆れるばかり。「二〇八〇年世界SF大会レポート」なんて実にバカバカしい話なんだけれども、読んでいて涙が出てきた。だって世界が崩壊してしまってもSF大会を開いているのだ。参加者は崩壊した世界であらゆる苦難を乗り越えて開催地を目指すのである。しかもあまりに困難なために数年おきにしか開催できない状況になってもだ。そして彼らはそんな状況でも宇宙を夢みているのである。
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