- 著 ジェイムズ・クラムリー/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-04
大鹿マロイっぽい人物が登場して、『さらば愛しき女よ』っぽい展開を見せるのだけれども、そぶりだけでその後の展開はどんどんとおかしくなっていく。そもそも、謎の女の依頼を受けて殺されかけるは、ある人物の居場所を知っている人間とその場所へ行って殺されかけるは、生きているのが不思議なくらいな目にあい続けるのだ。もうじき還暦を迎えようとする人間がここまで元気というかパワフルなのが信じられないのではあるけれど、ここまでくるとそんな人間が一人くらいいてもおかしくはないかという気分にもなってくるし、こんなパワフルなじじぃになれるものであればなりたいものだという気もする。とうてい無理だが。
前作でようやく念願の遺産を手に入れることが出来たけれども、ミロには安住の地は無いし、平穏な生活には満足が出来ない。
ミロの生活をぶちこわすためにはここまでしなければいけないのかと思うほど複雑で、暴力的で、そして悲劇の物語となっている。シルバー・ダガー賞受賞というのが不思議だったのだけれども、終盤の驚愕の結末を読めば、受賞したのも不思議ではないことがよく判る。
この先どこへと向かっていくのだろうか。
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