輝くもの天より墜ち

輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)

  •  ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-07

Amazon/楽天ブックス


予想外に分厚かったの怯んでしまったんだけど、晩年のティプトリーの作品だっただけあってごく普通の書き方で、読みやすかったので安心。
舞台となる館の見取り図やら部屋割、<ザ・スター>の接近図、そして巻末には用語集と<ザ・スター>の通過図と至れり尽くせりのおまけが素晴らしい。で、目次を見れば章タイトルがカウントダウンのサスペンスを煽っている始末で、否が応でも期待感が高まるのである。
で、読んでみるとどうなのかといえば、なんだか普通に展開していく。というかなんだかいびつなのである。ティプトリーらしい部分もしっかりと存在していて、ああ確かにティプトリーの書いた話だと思うのだが、心のどこかでは、こんなのティプトリーじゃないと否定したい気持ちがあったりする。
もの凄く旨いけれども湿気った煎餅を食べているような気分なのである。
おまけに事件が解決してからが長い。ひょっとしてこの後でとんでもない大どんでん返しがあるのではないだろうかと思ったくらいだ。ジェフリー・ディーヴァーならば10回ぐらいどんでん返し行っていただろう。というか前半と後半でトーンががらりと変わってるよこの話。
しかし、ティプトリーが書きたかったのはこういう話で私が読みたかったのはこういう話ではなかったというだけである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました