火星の長城

火星の長城 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1) (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1)

  •  アレステア・レナルズ/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-08-25

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さぞかし分厚い短編集だろうなと期待をしていたのだが、二分冊になってしまったので非常に残念。しかも続きは年末とは……。
次々と翻訳されたニュースペースオペラの中では、その分厚さのために物理的に読み辛かったことを除けば、一番読みやすかったのがレナルズだったので、シリーズ三作目の長編も翻訳予定に入っているようだし、こうして次々と翻訳されるのはうれしいことだなあ。
しかし、読みやすいからといって、面白いのかというと必ずしも比例関係にあるわけではなく、本家ニュースペースオペラというか、70年代のニュースペースオペラと比べると少々こじんまりとしすぎている気もする。まあ70年代ニュースペースオペラといえばラリー・ニーブンの処作品を思い浮かべてしまうので、それと比べてしまうのは酷な話かも知れない。
で、読んでみると短いだけあって、といっても中編レベルの分量はあったりもするのだが、けっこう面白い。過剰な期待をしなければというかあくまでスペースオペラだとして読めば、かなり楽しめる。
もっとも、ちょっと醒めた目で見てしまうと、ニュースペースオペラといっている割には、話作りの方は実に古くさい。まるで新しい革袋に古い酒を入れたようだ。「氷河」なんて二十年くらい前に星野之宣が漫画で描いていそうな内容だったりもする。ひょっとしたら子供の頃に読んでワクワクしたSFを自分で描き直そうとしているんじゃないのかと思ったよ。微笑ましくっていいんだけどさ。
気になったのは「ダイヤモンドの犬」の素数の問題で、「1,3,5,7」で「素数だ」なんて言っているけど、それは「奇数」だ。素数だったら「2,3,5,7」だろ。それとも自分の知らないうちに「1」が素数の仲間入りしたんだろうか。
もっとも、登場人物たちが頭の良いように見えて実は馬鹿だったというひねくれたユーモアのつもりだったのかも知れないけど、まあ第一問目からして結果は正しかったけど過程が間違っているという凄い展開をしてくれたので大爆笑だった。

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