- 著 タニス・リー/
- 販売元/出版社 河出書房新社
- 発売日 2007-09
<奇想コレクション>でタニス・リーってのは意外な選択だったんだけど、まあ面白い本を読むことが出来るのならば「奇想」でなくったって構わないか。
作品の並び順がちょっと凝っていて、というか中村融の編んだアンソロジーで凝っていないものって珍しいんだけど、次第にファンタジー色が濃くなるように配置されている。
そのせいで、前半の話はあまり好みにあう話が少なく、後半のファンタジー色の高い話の方が好みだった。
といっても最初の「別離」なんかは従う立場の者から見た視点が、ああタニス・リーらしいなあと思わせる官能さが満ちあふれていてこれはこれでいいなあと思ったし、表題作はダールの「来訪者」っぽい内容でタニス・リーが書くとこうなるのかって感じでもあった。
しかし一番楽しめたのはラストの「青い壺の幽霊」で、『終末期の赤い地球』を書いていた頃のジャック・ヴァンスにどこかしら似ているなあと、にやにやして読んでいたら、解説でクラーク・アシュトン・スミスに似ていると書かれていてなるほどと思ったよ。
クラーク・アシュトン・スミスに似ているのであれば初期のジャック・ヴァンスにも似ているわけだ。
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