- 著 リチャード・マシスン/
- 販売元/出版社 扶桑社
- 発売日 2007-09
前回の『奇術師の密室』が七十歳の時に作品で今回は長編二作目、二十代後半の時の作品です。いやまあなんとも凄まじい幅のひらき具合なんだろうか。二日酔いのジェフリー・ディーヴァーが書いたかのようなどんでん返しの連続だった『奇術師の密室』に比べると、今回はどうなるか予想のつく結末まで一直線の直球。父親の教育のせいもあって自己中心的思いこみの激しさと直ぐにキレまくる感情移入度ゼロの主人公の暴走物語はこの薄さだからまだしも、この倍もあったら途中で投げ出したくもなります。しかし、ジャック・フィニイが書いたかのような『ある日どこかで』を書いたと思えばこんな話も書いていたりと幅広い作風でまさに才人としか言いようがありません。老いてなお盛んとでも言いましょうか、まだまだ現役でバリバリと書いている模様ですし、第二のジャック・ウィリアムスンでも目指してもらいたいものですが、個人的にはマシスンの長編よりは絶頂期の頃の短編の方をまとめて出してもらいたいとおもっているのであります。まあ長編が出たら出たで読むだろうけどね。
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