- 著 矢崎 存美/
- 販売元/出版社 ソフトバンククリエイティブ
- 発売日 2007-09-12
今回は連作短編に近い長編。だったら素直に長編と書けばいいんじゃないかと言われそうなんだけど、個々のエピソードはそれぞれあまりメインのネタに絡んでこないので連作短編という雰囲気に近いのだ。
で、今回も不思議な出来事が起こるわけだが、その事件の持つテイストは前作と同様のテイストなので、読んでいてやっぱりそうかと思わずにやけてしまうほどうれしくなる。
主人公が巻き込まれる不思議な出来事そのものの真相は完全に明らかにされるわけではなく、謎が謎を呼ぶというか、いや、そもそも不思議な出来事の真相解明などという物はどうでもよく、あくまで関わった人々が納得できるレベルでさえあればいいというあたりは、全ての謎がスッキリと解明されなければ納得できないという人には辛い部分があるだろう。しかし、作者が描こうとしていることは、不思議な出来事の合理的な解明ではなく、関わった人々の心の揺れ動きの部分であるのだから、しかたないのだ。そしてそれ故にか、何度も読み返さないと理解できない説明不足な部分があったのは少し残念である。もう少しわかりやすく書いてもらえれば最後まで一気に読み進めることができて素直に感動できたのになあ。
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