ジョン・ディクスン・カーを読んだ男

ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 (論創海外ミステリ 68)

  •  ウィリアム・ブリテン/
  • 販売元/出版社 論創社
  • 発売日 2007-09

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まさかこのシリーズが一冊の本としてまとまるとは思わなかったよ。といっても読んだことがあるのは表題作だけだったんだけどね。
表題作は、折原一がこいつに触発されてか、「ディクスン・カーを読んだ男たち」という話を書いたくらい、まあ、一度読めば二度と忘れないくらいにインパクトのある話で、というかじつに馬鹿馬鹿しいオチのついた作品だったので、残りの話も同じ系統の話なんだろうと思っていたら、例外だったのはこの話だけで、それ以外はまともな本格ミステリだったのにびっくり。
「ダシール・ハメットを読んだ男」や「ジョン・クリーシーを読んだ少女」でさえも謎解き話となっているのである。その点でいえばミッキー・スピレインの部分ではミッキー・スピレイン風の展開をさせたマリオン・マナリングの『殺人混成曲』の方に軍配が上がるよなあ。それとは関係ないけど、ジョン・クリーシーがJ・J・マリックの本名だったとは知らなかったよ。今にして思えば、<ギデオン警視>シリーズくらい読んでおけばよかったと後悔しているけど、今じゃ絶版だからなあ。R.D.ウィングフィールドの<フロスト警部>シリーズの人気が出たときにギデオン警視の方も復刊してくれればよかったのだけど。
初期の作品の方が出来が良くって、だんだんと出来が悪くなってしまうのはこういうものの常だろうか。いつの日かエラリー・クイーンなみの推理をしたいものだと思いつつ、そんな機会など無いままに歳月が流れてしまった80歳の老人が推理する「エラリー・クイーンを読んだ男」はその推理もそうなんだけど、ラストが泣かせるし、「レックス・スタウトを読んだ女」なんかは元ネタの設定をうまく使って思わずにやりとしてしまう。そういう意味では、最期の方から読んでいった方が楽しめるかもしれないなあ。

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