- 著 エイミー・ベンダー
管 啓次郎 - 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2007-12
どうも読んでいて切ない気持ちにさせられる話ばかりだ。
恋人が日々逆進化して猿になり亀になりサンショウウオになり、そして……と、人間-猿-亀-サンショウウオが正しい逆進化なのかどうかという問題はさておき、どの話にも不思議な現象が描かれるのだが、どの話も満たされない悲しみが見え隠れしている。
無くしたものを不思議な能力で見つけることのできる青年の話などは、話の途中で物ではなく行方不明となった少年を捜す展開となるのだが、少年の身につけている物を手がかりに何とか見つけだした後で、彼は何かを探し出そうとする。しかし彼の能力を持ってしても見つけることは出来ない。そして彼はこうつぶやく。
ぼくを見つけにきて。ここにいるよ。見つけにきて。
ああ、なんという切なさ。
もっとも、読んでいて気が滅入るような陰鬱さというのは無いのでその点では救いがあるようなないような、というところだが、似ているからといって川上弘美のような話を期待すると気が滅入ってしまうかも知れない。
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