- 著 田中 啓文
- 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2008-01
それにしてもまともな人間がまったくもって登場しない話だ。
まあ、全くというのは言い過ぎで、数人ほど登場するんだけれども、登場して直ぐに作者によって退場させられてしまう。
主人公だってまともといえないわけで、そもそも今ここで起こっている事態を正しく認識などしようとはしない。16才の少女だから仕方ないかって気もするけれども、主人公以外の人間がさらに輪をかけてまともではないので相対的にまともに見えるだけだ。
前作の『水霊』と比べるとさらにエログロ度がパワーアップしているのでえぐい描写があちらこちらで炸裂していて、こういう話に耐性の無い身としては辛いものがあったけれども、そういうえぐい描写はばんばん飛ばして読み進めていったので、600ページ以上ありながらもあっという間に読み終えることが出来たのは幸いだ。
もっともこの本の肝心要の部分はえぐい描写の部分なので、そういう読み方をしたのではこの本を読んだことにはならん、と言われたらそうなかも知れない。
しかし、えぐい描写であってもどことなく醒めているんだよなあ、この人の描写って。
相変わらず、真相の部分に駄洒落を使っているんだけれども、今回はヨハネの黙示録を中心とした西洋文化の部分なので、駄洒落ネタが今一つだったのが残念。
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