- 著 打海 文三
- 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2007-12
- 著 打海 文三
- 販売元/出版社 角川書店
- 発売日 2007-12
「ドラゴンクエスト」というゲームの中で一番印象に残っているセリフというと、僕の場合「しんでしまうとはなにごとだ」である。
先に進みたいが故に、ろくにレベルアップもせず猪突猛進で進めてしまうという自分のゲームスタイルのために、何度も読まされるはめになったのが一番の理由だ。
で、自分のゲームスタイルはさておき、不謹慎であることも承知の上なのだが、あえてこう言いたいのだ。
「打海文三よ しんでしまうとはなにごとだ」
『裸者と裸者』『愚者と愚者』と書き続けておきながら、最終作となるはずだった『覇者と覇者』を書き終える前に打海文三は逝ってしまった。
文句をいうのはお門違いなのだが、文句の一つも言いたくなる。
このまま書き続かれていったならば、ジョージ・R・R・マーティンの<氷と炎の歌>シリーズに勝るとも劣らない物語になったに違いないと思うと悔しくて仕方がないのだ。
異世界ファンタジーではなく、近未来の日本を舞台としていながらもSFでもない。まあSFと言い切ってもいいかもしれないけれども、そんなジャンルわけなどどうでも良くなってくるくらいに面白くって、そして考えさせられる。
マーティンのように情け容赦なく登場人物を殺してしまうということはないけれど、その代わりに成長物語としての面白さがそこにはある。登場人物たちが何を考え、そしてどのように成長していくのか、ああ、彼らの成長ぶりが見たくて見たくて仕方が無くなるのだ。
それなのにもはや続きを読むことはできなくなってまった。だからこう言いたいのだ。
「打海文三よ しんでしまうとはなにごとだ」
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