- 著 谷岡 一郎
- 販売元/出版社 筑摩書房
- 発売日 2008-04
新書サイズなのでそれほど期待はしていなかったんだけども、読んでみたらやっぱりその通りの内容だった。
海外作品が大半を占めてしまっていて国内の作品が少なく、採りあげられた海外作品に関してもその選択に偏りがあったりするのは、本書で取り扱っているテーマ分類ががちょっと変わった視点のものだったりするので仕方ないけれども、もう少し中身が濃くってもよかったような気もする。
『SFはこれを読め!』と挑戦的なタイトルなので読む方もそれなりの気合いを入れて読みがちなんだけれども、それはさておき、本書で採り上げるのはサイエンス・フィクションとしてのSFだけで、スペース・ファンタジーやスペキュレイティブ・フィクションは扱わないと言っておきながら、その境界線が曖昧なままだったりするのはちょっとまずいんじゃないのかな。
ジョー・ホールドマンの『終わりなき平和』が『終わりなき戦争』の続編と言ってしまっているあたりは、まあテーマ上の続編だとホールドマン自身も言っているので厳密には間違ってはいないけど、普通は続編という扱いはしないだろうから、本当に読んでいるのかお前、とつっこみを入れたくもなった。しかし一番大笑いしたのは、サイバーパンクを「サイバーパンクと呼ばれるアクションもの」と言い切ってしまっていた部分だ。この文章をブルース・スターリングが目にしたら、血の涙を流しながら激怒するんじゃないのかな。
というわけで、人によってこうも見方が変わるものだと思わず感心してしまった。そういう意味では実にワンダーにあふれた一冊だったよ。
コメント
はじめてコメントさせていただきます。
いつも面白く拝見しています。
『現代SF1500冊』も読んだし、それ以外のSFブックガイドを探していたので、
『SFはこれを読め!』、期待していたんですけれど・・・ダメそうですね。
内容が濃くないとなると。
『日本SF全集・総解説』にしときます。
記述師さん、はじめまして。
コストパフォーマンスを考えるとこの本はそれほど悪くはないのですが、『現代SF1500冊』も読まれているとなると、ちょっと物足りないかも知れませんねえ。
とりあえず片っ端から読んでやろうという意気込みがあるのでしたら『日本SF全集・総解説』の方がいいでしょうね。