- 著 フィリップ・マクドナルド
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2008-03-24
あまり過剰な期待などせずに読めばけっこう楽しめる作品なので、文庫という形態で出たのはじつにありがたい。
「結末」から始まって最後が「発端」で終わるとくるとついつい過剰な期待をしがちなんだけれども、構成そのものにはあっと驚く仕掛けがしてあるわけではない。
しかし、だからといって単にやってみたかったからやってみたというようなレベルの物でもなく、この結末を効果的に生かすためだったらこのようにするしかなかっただろうなあという代物なので、読み終えた後に冒頭の「結末」を思い出して思わずニヤリとしてしまうのだ。
死人が出るのにそれほど悲壮感というか読後感は悪くなく、かといって不真面目でもなく、どちらかといえばコンゲーム小説を読んでいるような感じに近い。
とくに後半、一難去ってまた一難の状況において、ライノクス社の経営陣がそれを解決するための場面は読んでいて爽快。なによりも最後に決め手が知力ではなく腕力に訴える点が素晴らしい。知力で勝負ではなく殴り合いで決着をつけるのだ。
コメント
こんにちは。
「幻の傑作」なんてアオリ文句に惹かれて読むと
たしかに肩透かしですね。
まあでも軽く読めて面白かったです。
>最後に決め手が知力ではなく腕力に訴える点が素晴らしい
ほんとですね。
謎解き小説としては珍しいというか新鮮でした。
木曽のあばら屋さん、こんにちは。
本当に傑作だった、ワイルドの『検死審問』の後に出たのは出す順番としてはちょっと失敗だったかもしれませんねえ。