- 著 エリザベス ベア
前嶋 重機 月岡 小穂 - 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2008-04-09
前巻と同様、相変わらずあらすじが先走ってしまっているのはどうかと思うわけでとにかく話が進まない。半分近く読み進めても中国側の熾烈な攻撃は起こらないのである。
もっともこれはあらすじに影響されて読んでしまった場合のことで、そんなもの気にせず読んだ場合はどうかといえば、やっぱり展開が遅い。前巻で行方知れずとなった人物がどうなったかなんてかなり後にならなければ判明されず、前巻の終わりで主人公が船に乗り込んだと思いきや、いつのまにか地球に戻ってきているし、予想外の展開が多い。
主人公のライバルになりそうな人物はライバルになる以前に危うく物語から退場しかけるし、中国側の描写も登場するけれども、中国側がとんでもない事をしてくる割には中国側の視点人物はいい人なので、落差が激しいし、主人公が憎んでいる人物は終盤でいきなりかっこいい見せ場を作ったりする。
というわけで、逆に考えれば予想を裏切る展開の応酬というわけであり、これほど意外性に富んだ物語というのも近年まれにみる存在だとも言える。まあどんな物語でも楽しもうと思えば、いくらでも楽しむための読み方というのあるのだ。
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