超原子爆弾の爆発によって一つの都市がまるごと百万年後に吹っ飛ばされてしまうという設定は非常にそそるものがあった。
初めてこの話の存在を知ったときに、読んでみたいものだと思ったんだけれども、残念ながらこの話が収められた本はその当時であっても入手困難な状態で、文庫化されないものかとひたすら待ち続ける日々だった。
しかしいくら待っても文庫化される気配すらない。もっとも気配があったらそれを感じることができたのかといわれればそんなことなど出来るはずもなかったけれども、そのおかげで文庫化されていた『虚空の遺産』の方も読む気が起きなくって、読んでみようかと思い始めたときにはこちらの方も入手困難になってしまっていた。
まあ、さすがに文庫化されていたので、それほど苦労せずに読むことはできたんだけれども、『時果つるところ』の方はなかなか読むことができない状態だった。
で、まあなんとか入手することが出来て読んだんだけれども、期待感が高すぎてしまったせいか、うーむ、悪くはないけど良くもないといったよくあるパターンになってしまった。
都市ごと吹っ飛ばされて、廃虚と化したドーム都市を発見し、そこで無線機を動かして誰か応答してくれないものかと通信するところまではまあいい。しかし問題はその後だ。
通信を受信して飛んできたのはなんと遙か宇宙の彼方の異星人たちだったというあたりから全体のトーンが変わってくる。いやまさか地球上のどこかから応答が来るかと思ったら遙か宇宙の彼方から応答に答えてやってくるとは思わなかったよ。
しかし、まあハッピーエンドで終わる結末はそんなに悪くないのもまた事実なんだけど、『虚空の遺産』の身も蓋もない虚無感的なアンハッピーエンドの方が個人的にはしっくりとくるなあ。多分もっと若いときに読んでいたら『時果つるところ』の方がよかったと思ったかも知れないけれど。
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