- 著 小林 泰三
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2008-03
Jコレクションにおいては前作にあたる『海を見る人』と比べると小林泰三の個性が出過ぎてしまったという気がする。
ようするにアレと同じ系統の物語を期待するとがっかりしてしまうのだ。
逆に、いつもの執拗なまでの論理のこねくり回しを楽しみにしている人には満足の出来なのだが、私は前者だったので少しがっかり。
ブライ王の「王」にキングとルビを振ったり、MF銃なんて代物が登場したりとアニメネタを盛り込んであるので、こっそり牧野修が代作したのではないかと思ったりもする「灰色の車輪」はきれいに書けばしんみりとした作品に仕上がっただろうけれども、全然しんみりともせず、後味の悪い作品に仕上がっているあたりがいかにも小林泰三だ。
そもそも表題作からして、こりゃ小説というよりも科学解説記事に近く、なんでこんなものを書いたのか理解が出来ない。まあ、こういう物を一度書きたかったんだろうなあ。
「盗まれた昨日」は『忌憶』とネタがかぶっているので新鮮味はなかったけれども、長期記憶を外部メモリとして保持するという設定から発展させた論理が素晴らしい。
コメント
[書評][SF]天体の回転について
天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/03 メディア: 単行本 感想 小林泰三の最新SF短編集。というだけで買う人は買うでしょう。私も買いました。硬派を気取っているつもりはないんですが、この表紙にはきわめて遺