兇天使

兇天使 (ハヤカワ文庫 JA ノ 2-10)

  •  野阿 梓
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2008-02

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野阿梓はずっと前から読まず嫌いだった。
『バベルの薫り』は、ある時突然読みたくなって、苦労して探し回って手に入れたあげく、未だに積読のままだ。
何故なのかといえば理由は簡単で、耽美だからなのだ。
読んでもいないのに何故耽美だと分かるのだと言われれば、返答に窮するのだが、論理的に答えることは出来なくっても野阿梓の本から耽美さを感じさせる何かが出まくっていて、それが読むことを拒否させているのだいうことは声を大にして言える。
まあ完全に読まず嫌いの典型的な例である。
しかし、こうして歳を取ってくると耐性がつくというか感性が鈍くなってくるので、若い頃には読むことの出来なかった本でも読むことが出来るようになった。ありがたいというよりも悲しいことである。
で、読んでみると何なんだこの本は。
こりゃ確かに、耐性のないひ弱な感性しか持っていなかった若い頃に読んでいたら、どうなっていたことやら。読まずにいた自分の感覚を褒めてやりたい気分にもなった。もちろん逆に言えば、私は野阿梓の小説に選ばれなかった側の人間だったということでもある。
とりあえず、選ばれなくってよかったという気持ちもあるのだが、禁断の果実をかじってみたかったという気持ちもなきにしもあらずだ。

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