エデン

エデン (ハヤカワ文庫SF)

  •  スタニスワフ レム
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 1987-11

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『ソラリス』は既読で『砂漠の惑星』は名作セレクションとして復刊してくれたので、コンタクト三部作としては残すところ『エデン』だけとなったのだけれども、手が出せる値段ではなかなか見つからないよなあと思っていたら紀伊国屋書店が行った「絶版文庫復刊フェア」で突然復刊してしまった。
しかし、地方に住む身としては紀伊国屋書店まで行かなくてはいけないということ自体がやっかいな点なのだけれども、幸いなことにネットで簡単に入手することができるのであっさりと入手。読んでみたいなあと思ったとたんに復刊して、自宅にいながら手に入れることが出来てしまうということは、まあなんだかちょっと後ろめたい気もしないでもないけれども、そういう世の中になったのだと思うことにしておこう。しかし、それもでなんだかあまりにも便利な世の中になりすぎて怖い気もするというのは古い考えなのだろうか。
あまりにもあっさりと手に入れてしまうと、読みたいという気力も無くなってしまい、まあ苦労して手に入れた場合でも手に入れたことで満足してしまい読む気力が無くなってしまうのだが、しばらく放置していた。
で、まあこれじゃあいかんと意を決して読み始めることにしたのだけれども、シリアスな展開を覚悟して読み始めて、その逆だったことに驚いた。『ソラリス』や『砂漠の惑星』と比べると、登場人物たちが恐ろしく脳天気なのである。
とりあえず、それなりに真面目ではあるけれども、後先考えずの行き当たりばったりで、まあ考えてみればそれもそのはず、登場人物は物理学者や科学者、技師といった面々で、運悪くエデンという惑星に不時着したに過ぎず、そこに住む住人とのコンタクトを目的としていたわけではないのである。
自分たちも生き延びなければいけないという状況で、その割にはけっこう脳天気なのだが、真面目にファーストコンタクトをさせようとする事自体がちょっと酷すぎる。とはいっても勢いに任せて住人を虐殺してしまったりするのはどうか思うのだけれども、そのあたりも含めてレムという人は一筋縄ではいかない人なのだと再認識したのだ。

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