東京バンドワゴン

東京バンドワゴン (集英社文庫 し 46-1)

  •  小路 幸也
  • 販売元/出版社 集英社
  • 発売日 2008-04

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『寺内貫太郎一家』というテレビドラマが好きで、その後、そのドラマの脚本を書いた向田邦子が自ら小説化した本があることを知り、その当時まだSFとミステリしか興味が無かったくせに、探し出して読んで、そして『寺内貫太郎一家』がもっと好きになった身としては、この本を読み終えて、なんだかあざといなあという気持ちしか残らなかった。
かといってつまらなかったわけではない。読んでいる最中は楽しくって、そして感動して思わず涙してしまったくらいなのだが、読み終えてふと我に返ってみると、なんだかむなしさのようなものが残るのだ。
還暦を過ぎたロッカーとか、語り手が幽霊だとか、私生児や愛人の子供といった風変わりなキャラクター設定など持ち込まなくっても面白くできるはずだと思ってしまう。もっともこれがバージョンアップされた現代版ホームドラマであり、作者の持ち味なのだと思えばまあそれはそれで納得できるし、続編も読むつもりではいるのだが、それでも何処かしら何かが違うという違和感を感じる。
それは多分、私が好きだったのは昭和という時代を背景としたドラマであって、平成の時代を背景としたドラマではないからだろう。

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