- 著 佐藤 友哉
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2008-04-25
ミステリから離れた作品なのだけれども、ミステリ分が無くなっただけでそれ以外は大きく変化したわけではない。
もっとも、ミステリという束縛を逃れた分だけ自由になったという面もあって、ミステリよりもこっちの方面のほうがいいんじゃないのかとも思えるのだが、それにしても危うい。
ミステリを書いていた時もそうなんだけれども、毎回々々、自分の限界をさらけ出して書いているような感じで読んでいて実に切ない気持ちになってくる。
それはともかくとして、相変わらずタイトルの付け方は素晴らしく、「大洪水の小さな家」などはちょっと悔しい気がするくらいに素晴らしいタイトルで、中身の方がちょっとタイトル負けしているのが残念。
しかし「死体と、」を読んで驚いた。うーむ、作中で起こっていることはいつもの佐藤友哉の世界なのだけれども、語り口を変化させるとこうも面白くなるのかと目から鱗が落ちる思いをした。
そんなわけだから、この方面を突き進んでも、もう何も出てこないんじゃないかというところをピンポイントで狙っているかのごとき道を歩んでいるように見えるけれども意外といろいろと出て来るものだよなあ。
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