- 著 松本 清張
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2008-05-24
思っていたよりも短い話だったので、こんなことならもっと早く読んでおけばよかったと思ったのだけれども、破滅物を好んで読んでいた時期に読んでいたら物足りなく感じていただろうなあ。
小松左京が書いていたら政府の対応絡みの部分を含めてもっとシミュレーション性の高い内容になっていただろうし、筒井康隆が書いていたらもっと戯画化されてメッセージ性が強くなっていただろう……って筒井康隆の場合は『霊長類南へ』で既に破滅物を書いているか。
しかも、作中内での猶予時間はわずか一時間程度なので小松左京が書いたとしてもまあ似たような形にしかならないかもしれない。
しかし、この話が「女性自身」という雑誌に連載されていたということを思えば、少々の物足りなさなど気にすべきではないというか、よくもまあこんな話を連載したものだと感心してしまう。
どことなく淡々と描写しているあたりは、掲載紙が掲載誌だった故のやりかただったのかも知れないが、それが一種独特の雰囲気を醸し出しているあたりはさすが松本清張だと思うのだが、SF小説が本業でもないくせにこんな話を書いてしまう松本清張の底力を見せつけられてしまった。
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