- 著 アーサー C・クラーク
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2008-06
私にとってのクラークが輝いていたのは『楽園の泉』までなので、『2010年 宇宙の旅』はとりあえず読んだけれども、それ以降の作品は読んでいない。
もう書くことが無くなったと絶筆宣言をしたことで、私の中での輝きも消えてしまったというわけでもないのだが、まあしかし多分駄目になっていく姿を見たくないという気持ちがあったからだろう。
それなのにこの本を手に取ったのは、絶筆宣言を撤回し盛んに作品を発表し続けてきたのに、それらを読まなかったことに対する後ろめたさのようなものだったのだが、予想外に面白かったので驚いた。
そもそもページのそこかしこにアスタウンディング誌の表紙の写真が散りばめられて、野田昌宏がクラークの名を騙って書いたんじゃないのかって思った程だった、というのは言い過ぎだけども、クラークがSF大好き少年だったことがわかってなんとなくうれしくなったからだ。
まあ、さすがにクラークだけあって、アスタウンディング誌に掲載された作品の紹介をしながらも科学的に間違っている部分に関しては辛辣に指摘していたりするのだが、ネルスン・ボンド「見よ、かの巨鳥を!」以前にジャック・ウイリアムスンが似たような話を書いていたりしたことがわかったり、単なる自伝的エッセイだけではなくSF史としてもなかなかのものだったよ。
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