世間ではコーニイの『ハローサマー、グッドバイ』を読んで感動したという感想で満ちあふれているのに、まだ手を付けられないでいる身としてはなんだか猛烈に悔しいやら何やらでモンモンとしているわけだけど、考えてみれば物は手元にあるので焦る必要などなく、そもそも今日のこの記事だって三ヶ月近く前に読んで書いて置いた感想を挙げているくらい、世間を流れる時間や自分の実際の時間と大きく時間軸が遅れているブログなので、そんなこと気にすることなどないのではないかと思うのだが、それでも悔しいものは悔しい。
とりあえず週末には読む予定なので、よい週末を過ごすこととしよう。私にとっては意味すごく贅沢な週末だ。
で、贅沢といえば……。
- 著 堀江 敏幸
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2008-04-25
『雪沼とその周辺』を読んだときもそうだったのだが、この本も読み終えてすぐにふたたび冒頭から読み返したくなる本だった。
いったい何なんだろうか、いやそれは多分、そこに書かれた内容の全てを受け止めることが出来ないでいるだけであって、そこに書かれた全てを受け止めたい気持ちでいるだけなのだろう。
ブッツァーティの「コロンブレ」の話が登場したり、クロフツの『樽』が登場したりする。それは主人公が作中でその本を読んでいるからなのだが、しかしここで語られる「コロンブレ」や『樽』の話は主人公の生活の一風景であると同時に作者の語る言葉でもある。
いつもと同じく他の本を読むのと同じペースで読み終えたのだけれども、結局はそのペースで読んでしまってはこの物語を味わいきることは出来なかった。もっと時間的な余裕があればよかったのだが、「ためらうことの贅沢さ」という言葉が登場するのだけれども、私にとってはこの本を味わうことが贅沢なのだ。
いつかこの本を贅沢に味わってみたいと心に誓った。
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